The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

カテーテル治療

デジタルオーラルII(P17)
カテーテル治療 3

指定討論者:片岡 功一(広島市立広島市民病院)
指定討論者:佐藤 誠一(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

[P17-3] 当院で経験した左肺動脈近位部欠損症の2例ー術後肺動脈狭窄に対する治療方針の検討ー

近藤 亜耶1, 三木 康暢1, 松島 峻介2, 松岡 道生1, 亀井 直哉1, 小川 禎治1, 日隈 智憲2, 富永 健太1, 松久 弘典2, 田中 敏克1, 大嶋 義博2 (1.兵庫県立こども病院 循環器内科, 2.兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:左肺動脈近位部欠損症, カテーテル的バルーン拡張術, ステント留置

【背景】心内構造異常を伴わない一側肺動脈近位部欠損は稀な疾患で、全く無症状のこともある。肺高血圧を合併して心不全を生ずることや、気管支拡張症や喀血を合併することもあり、外科的治療介入が必要となる。当院で経験した乳児期早期に治療介入を行った左肺動脈近位部欠損症2例を報告する。【症例1】出生後チアノーゼの精査目的に生後1か月に当院へ紹介となった。心エコーで左肺動脈と主肺動脈との交通を認めず、肺静脈還流の左右差を認め、精査目的で心臓カテーテル検査を施行し、左肺動脈近位部欠損症、大動脈肺動脈中隔欠損症(APSD)と診断した。生後2か月半に左肺動脈形成術、APSD修復術を施行し、その後左肺動脈狭窄に対してカテーテルによるバルーン拡張術(BAP)を半年から1年に1回繰り返した。5歳の時に再度両側肺動脈形成術を施行し、現在も1年に1回BAPを施行しているが左肺動脈は低形成のままで血管床が乏しい状態が続いている。【症例2】日齢14に心雑音を指摘され当院に紹介となり、造影CTで左肺動脈近位部欠損症、右大動脈弓と診断した。日齢40に左肺動脈形成術を施行した。術後8日に施行した造影CTで、左肺動脈形成部分の高度狭窄を認め、BAPを施行したが効果が乏しく、左肺動脈が低形成となる可能性、右肺動脈が肺高血圧となる可能性を危惧し、生後2か月時に冠動脈ステントを留置した。【考察】当院が経験した2症例は比較的早期に診断に至り、診断後早期に外科的治療を施行したにもかかわらず、2例とも術後に左肺動脈狭窄を認め、かつBAPは効果が乏しかった。症例1の経験から症例2では早期にステントを留置した。冠動脈ステントは最大拡張径が小さいことが問題となるが、末梢肺動脈の成長を促すことが将来の予後を良好に保つために重要であると判断した。【結論】本疾患の長期予後を踏まえた上での治療戦略における、早期のステント留置の是非について症例の蓄積が必要であると考えた。