The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

カテーテル治療

デジタルオーラルII(P17)
カテーテル治療 3

指定討論者:片岡 功一(広島市立広島市民病院)
指定討論者:佐藤 誠一(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

[P17-5] 肺動脈狭窄症に対して薬剤溶出性ステント留置後のステント内再狭窄を血管内超音波にて評価した1例

関谷 崇志1, 横田 順1, 谷川 和泉1, 佐藤 孝司1, 村澤 孝秀1, 久保 仁1, 齊藤 暁人3, 白神 一博2, 浦田 晋2, 犬塚 亮2, 土井 研人1 (1.東京大学医学部附属病院 医療機器管理部, 2.東京大学医学部附属病院 小児科, 3.東京大学医学部附属病院 循環器内科)

Keywords:血管内超音波, 肺動脈狭窄, ステント内再狭窄

【症例】
10歳女児。出生時に総動脈幹症、両側肺動脈狭窄症と診断された。日齢15日に総動脈幹症に対しては、肺動脈形成術、central shunt造設術が施行され、7歳時には姑息的右室流出路形成術が施行された。肺動脈狭窄症に対しては、バルーン拡張術を施行したが、再狭窄を繰り返し肺血管床の成長が得られなかったため、ステント留置術が施行された。しかしその後もステント内狭窄によって低酸素血症が進行した。外科的加療は、肺動脈径が細く、ステント留置位置の関係からこれ以上の加療は困難と判断し、経皮的血管拡張術(PTA)を継続する方針となり、血管内超音波(IVUS)による計測を基に薬剤溶出性ステント(DES)を留置した。その後再狭窄は認められずDES治療による効果が示唆されたが、約2年経過後にステント内再狭窄を認めた。薬剤溶出性バルーン(DCB)、スコアリングバルーン(NSE)を用いたバルーン再拡張術を施行し、治療時のIVUSによる評価では内腔面積の拡大が得られたが、その後も度重なる再狭窄を認め、複数回に及ぶPTAを施行した。
【考察】
PTAに対するIVUSガイドでの治療の有効性については既報があり、本症例においても狭窄径や病変長を治療前に確認し、治療後の病変の改善や、バルーンサイズの選択といった治療に有益な評価をすることができた。しかし、肺動脈狭窄におけるステント留置後のステント内再狭窄の病変性状の質的評価についてはまだ不明である。一方で冠動脈疾患に対するIVUSを用いたステント内再狭窄の質的評価については、様々な検討がなされており治療戦略に貢献している。今後、肺動脈においてもIVUSによるステント内再狭窄の質的評価が得られれば、ステント内再狭窄予防に対する治療介入が期待される。これまでのIVUSによる質的評価の知見を踏まえて、本症例におけるIVUS所見を通じて、肺動脈狭窄におけるステント内再狭窄のIVUS質的評価の有用性について考察する。