[P19-3] Fontan術後早期の深部静脈血栓に対するIVCフィルター留置の有効性
キーワード:DVT, IVCフィルター, 血栓
【背景】Fontan循環の血栓塞栓症の発症率は5~20%と報告され、発症時期は術後1年以内が最も多いとの報告がある。周術期にFontan循環に関わる血栓塞栓を来した場合は、血栓除去や導管交換など外科介入を要する場合がある。
【症例】2歳1か月女児、体重 10kg、DORV、AVSD、PS、TAPVC(para)、bil SVC、right isomerismに対して、ECC-TCPC(18mm)(fenestration 3mm)ならびに右大腿動静脈瘻に対する瘻孔閉鎖術を施行した。術後1日目よりヘパリン持続、術後2日目よりワーファリン、アスピリンを開始した。PT-INR 1.5~2.5で管理し、術後4日目にヘパリンを中止した。術後8日目FDP/Dダイマー上昇と右大腿静脈から総腸骨静脈に約10cmの連続した血栓を認めた。ヘパリン再開後も血栓は縮小せず、IVCフィルター留置の方針とした。術前CTでIVC径 10mm、イントロデューサをIVCまで直線的に挿入する必要があり、大腿静脈アプローチ可能なフィルター(OptEase)を選択した。左大腿静脈へ6Fr Sheathを挿入し、造影で腎静脈、総腸骨静脈分岐部の位置を確認した。また回収を考慮し、フィルター下縁は総腸骨静脈分岐部から1cm以上頭側とした。左腎静脈へフィルターが跨る形態となったが、腎静脈血流が途絶していないことを確認した。APTT 50秒、PT-INR 2~3の管理と離床を図った。フィルター挿入10日目のCTで血栓消失を確認し、11日目にIVCフィルターを回収した。IVCフィルターの尾側フックを7mm goose neck snareで把持し、比較的容易に回収できた。フィルターには微細な血栓が付着していた。
【考察】IVCフィルターの小児挿入例は少なく、特にFontan術後早期のDVTに対して挿入した文献的報告はない。血栓塞栓を来した場合には循環不全に陥るため、粗大な血栓に対してIVCフィルターが治療戦略の1つである。本症例ではFontan循環順応時期の高いCVP、低心拍出に加え、大腿動静脈瘻による静脈拡張が血流の停滞を助長したことがDVTの原因と考える。
【症例】2歳1か月女児、体重 10kg、DORV、AVSD、PS、TAPVC(para)、bil SVC、right isomerismに対して、ECC-TCPC(18mm)(fenestration 3mm)ならびに右大腿動静脈瘻に対する瘻孔閉鎖術を施行した。術後1日目よりヘパリン持続、術後2日目よりワーファリン、アスピリンを開始した。PT-INR 1.5~2.5で管理し、術後4日目にヘパリンを中止した。術後8日目FDP/Dダイマー上昇と右大腿静脈から総腸骨静脈に約10cmの連続した血栓を認めた。ヘパリン再開後も血栓は縮小せず、IVCフィルター留置の方針とした。術前CTでIVC径 10mm、イントロデューサをIVCまで直線的に挿入する必要があり、大腿静脈アプローチ可能なフィルター(OptEase)を選択した。左大腿静脈へ6Fr Sheathを挿入し、造影で腎静脈、総腸骨静脈分岐部の位置を確認した。また回収を考慮し、フィルター下縁は総腸骨静脈分岐部から1cm以上頭側とした。左腎静脈へフィルターが跨る形態となったが、腎静脈血流が途絶していないことを確認した。APTT 50秒、PT-INR 2~3の管理と離床を図った。フィルター挿入10日目のCTで血栓消失を確認し、11日目にIVCフィルターを回収した。IVCフィルターの尾側フックを7mm goose neck snareで把持し、比較的容易に回収できた。フィルターには微細な血栓が付着していた。
【考察】IVCフィルターの小児挿入例は少なく、特にFontan術後早期のDVTに対して挿入した文献的報告はない。血栓塞栓を来した場合には循環不全に陥るため、粗大な血栓に対してIVCフィルターが治療戦略の1つである。本症例ではFontan循環順応時期の高いCVP、低心拍出に加え、大腿動静脈瘻による静脈拡張が血流の停滞を助長したことがDVTの原因と考える。