第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラルII(P2)
一般心臓病学 2

指定討論者:辻井 信之(奈良県立医科大学 小児科)
指定討論者:北野 正尚(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

[P2-6] 心臓聴診の有用性について~当院における紹介患者からの検討~

山本 英一1, 中野 威史1, 柏木 孝介1, 千阪 俊行2, 森谷 友造2, 渡部 竜介2, 檜垣 高史2, 小西 恭子3 (1.愛媛県立中央病院 小児科, 2.愛媛大学医学部 小児科, 3.松山市民病院 小児科)

キーワード:心臓聴診, 診断, 啓蒙

【背景】先天性心疾患の診断において、心エコー検査が有効な手段であることに異論はないが、心音および心雑音の聴取をすることは非常に有用な情報が得られる。しかし、循環器を専門外にする一般の医師にとっては聴診のハードルが高く、近年、幼児健診の項目から必須ではない動きや診察よりまず超音波検査といった指導もみうけられる。【目的】心音、心雑音を聴取することが心疾患の早期診断に有用であることを再確認すること。【方法】2018年1月1日から2019年12月31日までの当院小児循環器外来における紹介患者(急性期川崎病は除く)のうち心雑音について後方視的に検討する。【結果】全紹介患者340例中心雑音175例そのうち心疾患(卵円孔、末梢性肺動脈狭窄は含める)123名、1歳までに108例が診断され、うちVSD,ASD,PSなど明らかな形態異常の疾患は72例であった。それ以降の年齢でも多くはないがPS、MR、CoA、心筋症などの治療を有する疾患が診断された。不整脈などの形態異常ではない疾患も発見されていた。【考察】聴診所見は、疾患の確定診断能力においては、心エコーに劣ることは間違いない。そのため、心雑音や心症状で紹介された患児は、心エコー検査を施行する。当院でも聴診所見で無害性心雑音と判断しても心エコーは施行しているのが現状である。しかし、最初からすべての患児に心エコーをすることは困難であり、診断のきっかけとして心臓の聴診は大切である。新生児期には産科医師からの紹介が多く、だれでもトリアージが可能である。結果として生理的な血行動態であることも多いが、診断の第一歩となっている。【結語】循環器専門医でなくても、すべての医師において、聴診は聴診器さえあれば心臓異常を指摘できる簡単でかつどこでも可能な方法である。モダリティが進歩しても小児循環器医が積極的に一般小児科医を含むすべての医師に啓蒙し教育すべきと思われる。