[P20-1] QT延長による2:1房室ブロックを発症し、LMNA遺伝子変異を認めた21トリソミーの1例
キーワード:QT延長症候群, 高度房室ブロック, 遺伝性不整脈
【はじめに】先天性QT延長症候群(LQTS)などの遺伝性不整脈は、原因遺伝子により有効な薬剤や患者管理方針が異なることがあり、小児循環器科医にとって、鑑別のために遺伝子検査を行うことが多い分野の一つである。しかし結果が予想と異なる場合、解釈に悩まされることも多い。今回、LQTSを疑って遺伝子検査を提出したがLMNA遺伝子変異を認めた症例を経験したので、変異の解釈も含めて報告する。
【症例】1歳2か月女児。在胎36週4日、体重2,622g で仮死なく出生し、出生後に心室中隔欠損症、動脈管開存症、21trisomy、甲状腺機能低下症と診断された。月齢1に動脈管結紮術、月齢5に心室中隔欠損パッチ閉鎖術を施行されて、術後合併症なく経過していた。入院1週間前より普段と息遣いが異なるため当院を受診したところ、心室レート58bpmの2:1房室ブロックを認めたため、緊急入院した。QTc(Bazett法) 588msecとQT時間が延長していたため、QT延長による2:1房室ブロックと診断した。急性心筋炎の関与を疑ったが否定的な経過で、電解質補正やメキシレチン内服などの各種治療に反応しないため、入院12日目に恒久的ペースメーカー植え込み術を施行した。遺伝子検査ではLQTSに対する既知の遺伝子変異を認めず、LMNA遺伝子にp.A577T変異を認め、同変異を母と同胞2人にも認めた。現在、児はβ遮断薬とメキシレチンを内服しているが、QTc 480mesc以上が持続し、自己脈は2:1房室ブロックのままである。
【考察】LMNAの変異には拡張型心筋症や伝導障害、不整脈の合併が多いが、機序は不明である。LMNAp.A577T変異は現在variant of uncertain significanceに分類されるが、本症例を含めて3家系で徐脈の報告があり、同変異症例の今後の慎重な経過観察と症例の蓄積が重要である。
【症例】1歳2か月女児。在胎36週4日、体重2,622g で仮死なく出生し、出生後に心室中隔欠損症、動脈管開存症、21trisomy、甲状腺機能低下症と診断された。月齢1に動脈管結紮術、月齢5に心室中隔欠損パッチ閉鎖術を施行されて、術後合併症なく経過していた。入院1週間前より普段と息遣いが異なるため当院を受診したところ、心室レート58bpmの2:1房室ブロックを認めたため、緊急入院した。QTc(Bazett法) 588msecとQT時間が延長していたため、QT延長による2:1房室ブロックと診断した。急性心筋炎の関与を疑ったが否定的な経過で、電解質補正やメキシレチン内服などの各種治療に反応しないため、入院12日目に恒久的ペースメーカー植え込み術を施行した。遺伝子検査ではLQTSに対する既知の遺伝子変異を認めず、LMNA遺伝子にp.A577T変異を認め、同変異を母と同胞2人にも認めた。現在、児はβ遮断薬とメキシレチンを内服しているが、QTc 480mesc以上が持続し、自己脈は2:1房室ブロックのままである。
【考察】LMNAの変異には拡張型心筋症や伝導障害、不整脈の合併が多いが、機序は不明である。LMNAp.A577T変異は現在variant of uncertain significanceに分類されるが、本症例を含めて3家系で徐脈の報告があり、同変異症例の今後の慎重な経過観察と症例の蓄積が重要である。