[P20-2] 学校心臓検診におけるQT延長を契機に診断した特発性副甲状腺機能低下症の一例
Keywords:QT延長症候群 , 低Ca血症, 副甲状腺機能低下症
症例は7歳4ヶ月女児。学校心臓検診でQT延長を指摘され当科受診。失神、痙攣、動悸など症状なし。既往歴に難聴、川崎病なし。薬剤やサプリメント服用なし。家族歴に若死、突然死、遺伝性不整脈、心筋症なし。身体所見異常なし。心エコーで器質的心疾患は否定的であった。一次検診心電図では機械法HR=89、QT=0.436、QTc(Fridericia)=0.499、接線法HR95、QT=0.371、QTc(Fridericia)=0.434、受診時では機械法HR=92、QT=0.413、QTc(Fridericia)=0.476、接線法HR=97、QT=0.380、QTc(Fridericia)=0.446とQT延長は軽度であったが、T波の形態に違和感がありQT延長症候群を疑い翌日に入院精査とした。運動負荷心電図、薬剤負荷心電図、ホルター心電図、脳波、遺伝子検査を計画していたが、入院時の血液検査でCa=4.6mg/dlと著明な低Ca血症を認めた。この時Chvostek兆候やTrousseau兆候は認めなかった。再度詳細な病歴聴取を行い、2ヶ月前に発熱を主訴に他病院受診、血液検査でCa=4.6mg/dlと低Ca血症を指摘され食事指導で2週間後にCa=4.9mg/dlであり上昇傾向と判断され、無治療無制限で経過観察されていたという。低Ca血症に対してカルチコール静注後、乳酸カルシウム、アルファカルシドール内服を開始した。その後intactPTH<2.5pg/ml、血清P=10.7mg/dl、尿中Ca/Cre=0.02、甲状腺機能正常、自己抗体陰性、感音性難聴なく、22q11.2(FISH法)陰性であることから特発性副甲状腺機能低下症と診断した。入院7日目で血清Ca=8.3mg/dlと上昇、心電図では機械法HR=111、QT=0.358、QTc(Fridericia)=0.440、接線法HR=114、QT=0.344、QTc(Fridericia)=0.426とQT時間およびT波形態は正常化した。退院後外来で乳酸カルシウムを終了し、アルファカルシドールの調整を行っている。【考察】副甲状腺機能低下症がQT延長を契機に診断された報告は少ない。QT延長がみられた場合は丁寧な病歴確認と基礎疾患除外のための血液検査が必要であると考える。