[P21-2] トレッドミルを行った小児患者の心拍数の推移についての検討
Keywords:トレッドミル, 運動負荷心電図検査, 心拍応答
【背景】運動時の不整脈や心筋虚血を評価するためにトレッドミル負荷試験は有用であるが、小児において基準となる負荷時間や心拍数の推移に関する報告は多くない。【目的】トレッドミルを実施した小児例の患者背景を層別化し、負荷に伴う心拍数の推移を評価する。【方法】2010年から2020年までに当院でトレッドミルを行った20歳未満の症例を対象とし、Bruce法に則って負荷を加えた。目標心拍数{(220-年齢)×85%}に到達するか、疲労や胸痛、不整脈の出現により継続困難な場合に検査終了とした。患者背景と、運動負荷に伴う心拍数・心電図波形の変化等について後方視的に検討した。【結果】対象者は全483例で、平均年齢12.0±2.6歳、男性303例(62.7%)であった。病名は心室期外収縮(94例)、胸痛(75例)、失神(48例)、川崎病(38例)が多くみられた。負荷時間は726±151秒で、心拍数は開始時103±16/分から最大181±16回/分まで上昇し、378例(78.3%)で目標心拍数に達した。女性は男性と比較し負荷時間が短かった(668 vs. 760秒, p<0.001)が、最大心拍数は高かった(183 vs. 180/分, p=0.022)。年齢群別では5-9歳で負荷時間643±136秒、最大心拍数174±19/分となり、10-14歳(同743±136秒、182±14/分)、15-19歳(同753±195秒、183±14/分)の年齢群と比較し有意に低かった(いずれもp<0.001)。負荷後の心電図異常として、期外収縮の頻度増加(24例)、ST低下(11例)、高度房室ブロック(8例)を認めた。【考察】女性のほうが運動に伴う心拍応答性が高く、短い負荷時間で目標心拍数まで達したと考えられる。また、低年齢児で負荷時間、最大心拍数とも低く、適切な負荷がかかっていない可能性が示唆された。