[P22-1] 両側心耳に頻拍起源を認めた心房頻拍の一例
Keywords:心房頻拍, 頻拍誘発性心筋症, アブレーション
心房頻拍(AT)は主に異常自動能やトリガードアクテビティを機序とし、その起源は心房内、分界陵、静脈-心房接合部などあり、他に心耳起源も散見される。【症例】9歳女児、前医で乳児期にVSD、ASD、PH、Mesocardiaと診断された。術前の心臓カテーテル検査中にPSVTを認めフレカイニドを開始。その後月齢8に心内修復術を施行された。術後JETを認めたがペーシングで周術期管理は対応可能だった。月齢10(術後2か月)にATを発症し各種抗不整脈薬を併用していたが年1回ほどの頻拍による入院を繰り返していた。術前に認めていたPSVTは房室結節回帰性頻拍(AVNRT)と判明し、AVNRTとATを繰り返していたが、8歳時にAFを疑う頻拍を認めたためアブレーション目的に当科を紹介された。プログラム刺激でAVNRT(slow-fast)が容易に誘発され、その後AFそしてAFLへと一過性に変化する様子が見られた。遅伝導路焼灼後はセッション中にAFの再発なし。AFLは安定して持続せず、想定されるリエントリー回路に対して三尖弁-下大静脈峡部、切開線-下大静脈へのブロックラインを作成した。ライン作成後もHR130-140bpmの頻拍が持続し、mappingを行ったが洞結節近傍であり治療を一旦断念し薬剤によるレートコントロールを再開した。その後もレートコントロールに難渋しLVEFが低下したため、初回治療より5か月後に再入院した。セッション中はATであり、HDGridマッピングシステムを使用し、右心耳内に最早期興奮部位(AT1)を認めた。通電中にシークエンスが変化し冠静脈電極遠位が最早期興奮部位となったため左房内を検索したところ左心耳遠位端に最早期興奮部位(AT2)を認め、同部位を通電し焼灼に成功した。その後AT1の通電を行い終了した。両側心耳を起源とした心房頻拍は稀であり今回報告する。