第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラルII(P22)
電気生理学・不整脈 3

指定討論者:青木 寿明(大阪母子医療センター)
指定討論者:吉田 葉子(大阪市立総合医療センター)

[P22-2] 複数副伝導路のマッピングに高密度マッピングが有用であった5歳女児例

水冨 慎一朗1, 藤田 修平1, 近田 明男2, 臼田 和生2, 畑崎 喜芳1 (1.富山県立中央病院 小児科, 2.富山県立中央病院 循環器内科)

キーワード:カテーテルアブレーション, 複数副伝導路, 高密度マッピング

【背景】高密度マッピングは頻拍回路の同定に有用であるが、複数副伝導路を有する症例に使用した報告は少ない。
【症例】5歳女児。3歳時に活気不良から頻拍を指摘され、発作性上室頻拍の診断でフレカイニド内服を開始された。今回、根治治療目的にカテーテルアブレーションとなった。12誘導心電図にデルタ波は認めなかった。心室刺激で室房伝導(VA伝導)を認め、心房最早期興奮部位は冠静脈洞(CS)遠位部であり、減衰伝導特性を認めなかった。心室期外刺激で頻拍が再現性を持って誘発された(S1S2 450-390ms, TCL 380ms)。頻拍中のHis不応期の心室単発刺激で心房早期補足(リセット現象)を認め、左側副伝導路を介した房室回帰性頻拍と診断した。心房中隔穿刺後に心室刺激下に心房最早期部位をOrionカテーテルでマッピングした。左側壁が心房最早期興奮部位ではあったが、左前側壁も同程度に早期性があった。左側壁を通電し、局所のVA伝導は延長したが頻拍は持続した(4.3秒で切断、TCL 370msと変化なし)。再度Orionカテーテルでマッピングを行うと左前側壁が最早期興奮部位であり、リセット現象を認め、左前側壁副伝導路を介した房室回帰性頻拍と診断した。通電を行うとVA伝導は消失し頻拍も停止した(5.7秒で切断)。RhythmiaTMシステムを用いたアクティベーションマップでは、僧帽弁輪の左側壁と左前側壁から入った刺激が遠位で衝突し伝播する様子が観察でき、複数副伝導路を明確に視認できた。
【結論】高密度マッピングは、複数の副伝導路を同時に適切にマッピングするために有用と考えられる。