[P23-1] ファロー四徴術後の47歳男性に対するHis束左脚ペーシングでのペースメーカ植え込み
キーワード:His束ペーシング, 成人先天性心疾患, ファロー四徴
【背景】成人循環器領域において,His束ペーシングは従来の右室ペーシングと比べ,遠隔期の心不全や死亡率を低下させることが知られている.我々は、Fallot術後の成人心不全患者においてHis束ペーシングを応用したので報告する.
【症例】2歳7か月で心内修復術,36歳時に肺動脈弁置換術を行ったファロー四徴の47歳男性.徐々に増悪する労作時息切れを主訴として外来を受診した.受診時の12誘導心電図は洞性徐脈,II-房室ブロック,完全右脚ブロック,正常軸,35/分を呈していた.前医で行われた直近のホルター心電図検査でも総心拍数65,830/dayで洞性徐脈およびII-III度房室ブロックが持続しており,永久ペースメーカ植込み適応と判断された.ペースメーカ植込み時に行った簡易的なHis束マッピングでは,His束内ブロックを確認した.そこでHis束遠位の左脚領域を心室ペーシング部位として,DDDペースメーカの植込みを行った.術後よりQRS幅の短縮が得られた.術後早期の心エコー図検査では軽度三尖弁逆流はあるものの,左室同期不全は認められなかった.その後の経過も良好である.
【考察】本症例では,ファロー四徴術後遠隔に洞結節および房室結節不全に対し,当初はHis束ペーシングを行う予定であったが,術中のマッピングによってHis束内ブロックを確認したため,より遠位の左脚領域ペーシングを行った.ファロー四徴では完全右脚ブロックを伴うことが多く,His/左脚領域ペーシングと右室中隔を直接刺激することで右室に対しても生理的な刺激伝導が期待でき、さらに両心機能の温存に有用であると考える.
【結語】His束または左脚領域ペーシングは一部の成人先天性心疾患(ACHD)患者に対しても適応可能であり,ペースメーカ植込み後の心不全増悪を回避し得る手技であると考える.今後ACHD領域でも考慮すべき治療法と考えられる.
【症例】2歳7か月で心内修復術,36歳時に肺動脈弁置換術を行ったファロー四徴の47歳男性.徐々に増悪する労作時息切れを主訴として外来を受診した.受診時の12誘導心電図は洞性徐脈,II-房室ブロック,完全右脚ブロック,正常軸,35/分を呈していた.前医で行われた直近のホルター心電図検査でも総心拍数65,830/dayで洞性徐脈およびII-III度房室ブロックが持続しており,永久ペースメーカ植込み適応と判断された.ペースメーカ植込み時に行った簡易的なHis束マッピングでは,His束内ブロックを確認した.そこでHis束遠位の左脚領域を心室ペーシング部位として,DDDペースメーカの植込みを行った.術後よりQRS幅の短縮が得られた.術後早期の心エコー図検査では軽度三尖弁逆流はあるものの,左室同期不全は認められなかった.その後の経過も良好である.
【考察】本症例では,ファロー四徴術後遠隔に洞結節および房室結節不全に対し,当初はHis束ペーシングを行う予定であったが,術中のマッピングによってHis束内ブロックを確認したため,より遠位の左脚領域ペーシングを行った.ファロー四徴では完全右脚ブロックを伴うことが多く,His/左脚領域ペーシングと右室中隔を直接刺激することで右室に対しても生理的な刺激伝導が期待でき、さらに両心機能の温存に有用であると考える.
【結語】His束または左脚領域ペーシングは一部の成人先天性心疾患(ACHD)患者に対しても適応可能であり,ペースメーカ植込み後の心不全増悪を回避し得る手技であると考える.今後ACHD領域でも考慮すべき治療法と考えられる.