The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

電気生理学・不整脈

デジタルオーラルII(P23)
電気生理学・不整脈 4

指定討論者:鈴木 嗣敏(大阪市立総合医療センター)
指定討論者:住友 直方(埼玉医科大学 国際医療センター 小児心臓科)

[P23-2] 長期間続く心室内非同期により、治療を行っても局所心筋障害が改善しなかった3症例

河合 駿, 渋谷 悠馬, 水野 雄太, 池川 健, 市川 泰広, 小野 晋, 金 基成, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

Keywords:心室内非同期, 心筋障害, 心臓再同期療法

【背景】WPW症候群や左脚ブロックでは心室内非同期により心不全を来す症例が存在し、カテーテルアブレーション(RFCA)や心臓再同期療法(CRT)による是正によって改善する。しかし心不全が顕在化しない症例では積極的な治療適応とはならない。特に体格が小さい例では経過観察されることもしばしば診られる。その様な症例の中で遠隔期に治療を行っても改善しない局所心筋障害を残すものが存在する。我々は治療を行っても急性期効果を得ることができなかった局所心筋障害を伴う3症例を経験した。【症例1】11歳男児。乳児期より拡張型心筋症(DCM)と診断され、同時にWPW症候群も指摘されていた。心臓超音波検査では中隔基部のakinesisを認めていた。11歳時に副伝導路による心室内非同期が心不全に関与していると判断されRFCAを施行した。左室全体の非同期は是正されEFや運動耐容能の改善を認めるも、術後3年を過ぎても中隔基部でのakinesisは残存した。【症例2】14歳男児。5か月時より前医でDCMと診断され心電図上では左脚ブロックであった。7歳時より当院に転医となった。転医時の心臓超音波検査ではEFは50%、前壁はdiskinesisで菲薄化していた。14歳時にCRTの効果判定のための心臓カテーテル検査を行ったところEFと心室内非同期の是正は限定的で前壁の壁運動の改善はなかった。【症例3】9歳女児。双胎第二子、先天性肺動脈狭窄と胎児期に診断され乳児期に肺動脈バルーン形成術を行っている。3歳時から心電図上preexcitationが出現し、6歳時から心室非同期が顕在化するようになり、徐々に心臓超音波検査で中隔基部のakinesisを示すようになった。9歳時のフレカイニド負荷試験で副伝導路の薬物的離断を行っても中隔基部の菲薄化とakinesisは改善しなかった【結語】心室内非同期は局所心筋障害を引き起こし、可逆的でない可能性がある。心室内非同期の存在は血行動態が保たれていても積極的な治療適応となりうる。