[P23-5] 先天性房室ブロックの早産極低出生体重児に対して一期的にペースメーカ植込術を行った1例
キーワード:先天性房室ブロック, ペースメーカ, 早産極低出生体重児
【背景】先天性房室ブロック(AV block)は予後不良でペースメーカ植込術(PMI)が必要となることが多い。特に、低出生体重児では一時的体外ペーシングにより体重増加を図った後、待機的にPMIを行うこともあるが、今回早産極低出生体重児に対して出生後早期に一期的にPMIを行い良好な転帰を辿った一例を経験した。【症例】Basedow病、特発性血小板減少性紫斑病合併妊娠。妊娠28週、胎児胸水が出現し、30週2日、胸水の増加、遅発一過性徐脈も認め入院した。入院後も60 bpmの徐脈は持続し、胎児機能不全が疑われ、同日緊急帝王切開となり、体重1403 gで出生した。徐脈は2:1のAV blockでありQT延長を合併した(QTb 540 ms)。出生後も60 bpmの徐脈は続き、気管内挿管、胸腔穿刺、ボスミン投与等を行うも改善しなかった。母体からの移行抗体による徐脈依存性QT延長症候群と考えられたが、QT延長によるAV blockも否定できずTorsades de Pointesの発生を懸念しイソプロテレノール(ISP)投与は見送った。その後、3:1のAV blockを認めたことからQT延長によるAV blockは否定され、ISP投与を開始したところAV blockの頻度は減少し消失した。この間に母児ともに抗SS-A抗体陽性と判明し、移行抗体によるAV blockと診断した。状態は安定したが、日齢1から4にかけ徐脈は再燃しAV blockや血圧低下を間欠的に認めた。日齢5にはHR 50の徐脈が持続し脳血流の低下も進行し、PMIの適応と判断した。経皮ペーシングが無効であり、手術開始まで経食道ペーシングしながらPMI(Solus μ(R), 33×33×6 mm, 12.8 g, VVI)を施行した。術後の経過は良好である。【考察】AVBの1403 gの極低出生体重児に対して一期的にPMIを行いえた。極低出生体重児に対するPMIの報告は少ないが、ペースメーカの小型化は進んでおり今後より適応が広がることが期待される。