[P24-2] 小児先天性心疾患手術後患者における無気肺の発症状況とその関連因子の検討
Keywords:小児, 先天性心疾患, 無気肺
【背景】小児先天性心疾患手術後患者における無気肺発生率は少なくなく、低年齢、人工心肺時間などが危険因子として報告されている。無気肺の発生時期は抜管後が最も多いとされており、上記に加えて、抜管後の咳嗽力や分泌物量、鎮静深度、体位なども関連している可能性も否定できないが、これらに関する報告は少ない。【目的】無気肺発生率および関連する因子を把握すること。【対象と方法】当院にて人工心肺を用いた心臓血管外科手術を受けた患者191例(平均年齢2歳9か月)を対象とした。診療録より、患者情報、手術状況、手術後経過などを後方視的に調査し、抜管後24時間以内に無気肺を生じた無気肺群と生じなかった非無気肺群の2群に分けて比較検討した。なお、抜管前より無気肺所見があったもの、気管切開例は除外した。【結果】191例中42例(22.0%)で抜管後24時間以内に無気肺を認めた。人工心肺持続時間(無気肺群 vs. 非無気肺群:中央値163.5分 vs. 120分)、抜管前心胸郭比(中央値54.7% vs. 52.1%)、人工呼吸器装着期間(中央値4.5日 vs. 1日)、抜管前呼気終末陽圧(中央値3.5cmH2O vs. 3cmH2O)は無気肺群で有意に高く(p<0.05)、年齢(中央値8.5ヵ月 vs. 15か月)は有意に低かった(p<0.05)。また、無気肺群において、咳嗽反射消失~減弱例、頻回吸引例(抜管後1時間以内の吸引を3時間以上必要)、横隔神経麻痺合併例が有意に多かった(p<0.05)が、ダウン症候群などの基礎疾患や反回神経麻痺合併の有無、抜管後の鎮静深度や体位については2群間で差を認めなかった。【まとめ】抜管後早期の無気肺発症率は22.0%であった。年齢や人工心肺持続時間など先行研究で報告されている因子に加えて、抜管後の咳嗽の弱さや分泌物の多さ、横隔神経麻痺の合併も抜管後早期の無気肺を予測する因子になり得ることが示唆された。