The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

集中治療・周術期管理

デジタルオーラルII(P24)
集中治療・周術期管理 1

指定討論者:平松 祐司(筑波大学心臓血管外科)
指定討論者:上野 倫彦(手稲渓仁会病院)

[P24-6] 気道病変を合併する高肺血流性心疾患の臨床像と治療介入についての検討

林 知宏, 山内 真由子, 岡部 礼恵, 土井 悠司, 上田 和利, 荻野 佳代, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院 小児科)

Keywords:気道病変, 気管気管支軟化症, 先天性心疾患

【背景】先天性心疾患の小児で気道病変の合併は稀でないが、治療の選択や介入時期に確立した基準はない。【目的】気道病変を合併した高肺血流性心疾患の臨床像と治療介入について検討すること。【対象・方法】2014~2020年の7年間に気管支鏡で気道病変を診断した先天性心疾患の62例中、血行動態的に有意な肺血流増加と判断した25例(VSD 10例、ASD 7例、CoA/IAA complex 3例、AVSD 1例、PDA 1例、BTシャント術後3例)。染色体異常を16例(64%)で合併(21trisomy 12例、18trisomy 2例、22q11.2欠失症候群1例、その他1例)。L群:下気道軟化症(気管軟化症、気管支軟化症)17例、U群:上気道軟化症(咽頭軟化症・咽頭狭窄、喉頭軟化症)7例、先天性気管狭窄1例。診断時日齢2~159(中央値26)。心臓手術前後での気管支鏡所見や呼吸管理の変化について後方視的に検討。【結果】L群で心内修復術(ICR)あるいは肺動脈絞扼術を施行した11例中8例で気道症状は改善。術前後で気管支鏡を施行した8例中5例で下気道軟化症の所見が消失し、陽圧換気を要さなくなった。いずれも診断後2ヶ月以内に手術を施行していた。2例は術前に気管切開を検討していた。21trisomyの2例は気管切開・high PEEP療法を開始後、それぞれ8ヶ月・1年2ヶ月を経過してASD閉鎖術を施行。術後も軟化症所見に変化はなく、呼吸器離脱ができなかった。CHARGE症候群の1例は術後も気道症状・気管支鏡所見のいずれも改善がなかった。U群でICRを施行した5例全例で気道症状は改善し、1例を除き陽圧換気を要さなくなった。1例は術前に気管切開を検討していた。2例で術前後に気管支鏡を施行したが、上気道軟化症の所見は残存した。【考察】高肺血流により二次性に下気道軟化症を来す症例が存在する。気道軟化症を有する高肺血流性心疾患の約2/3で染色体異常を合併する。陽圧換気を要する場合は、早期の心臓手術により呼吸器離脱や気管切開を回避できる可能性がある。