[P25-3] 極低出生体重児の大動脈縮窄症に対して経皮的大動脈バルーン拡張術後に外科的修復を行った1例
Keywords:大動脈縮窄症, 経皮的大動脈バルーン拡張術, 極低出生体重児
【背景】大動脈縮窄症(COA)は新生児・乳児期早期に修復術が必要であるが、早産や低体重は手術リスクとなる。Native COAに対する経皮的バルーン治療は、動脈瘤形成・解離など過拡張による合併症や高い再狭窄率など議論の余地は多いが、外科治療高リスク症例における姑息的手法としては選択肢となる。【症例】双胎間輸血症候群による胎児発育不均衡を合併した一絨毛膜二羊膜双胎妊娠ため、妊娠18週で胎児鏡下吻合血管レーザー凝固術を施行された。児は在胎35週5日、1374g(他児2264g)で出生した。入院時の心臓超音波検査で明らかな異常なく、日齢1に動脈管は閉鎖した。動脈管閉鎖後も循環不全なく経過した。日齢6に血圧上下肢差(上肢:110/60・下肢:46/39mmHg)、下肢末梢動脈触知不良および尿量減少を認め、精査でCOAと診断した。抗心不全治療で尿量は確保されたが、上肢高血圧(127/68mmHg)、左室壁肥厚が進行した。日齢25(修正39週0日・体重1392g)に経皮的バルーン拡張術を施行した。治療前の右上腕動脈圧180/76(119)mmHg・下行大動脈圧65/51(57)mmHgであった。大腿動脈に3Frシースを挿入、マルチパーパスカテーテルによる下行大動脈造影で最狭窄部径1.3mm・大動脈膨大部径8.4mmであった。3Frマルチパーパスカテーテルが直接狭窄部から峡部へ通過したので、0.014インチガイドワイヤー挿入後、冠動脈用バルーン(TREK NC 2mm)で前拡張を行った後、弁拡張用バルーン(TMP-PED 4mm)で後拡張した。上腕動脈圧92mmHg、下行大動脈圧83mmHgとなり収縮期血圧較差9mmHgへ改善した。十分な体格の成長を待ち、生後3か月(修正50週1日・3050g)で大動脈形成術を施行した。COA部切除組織は内膜の肥厚がみられた。術後経過は良好で術後2週間で退院した。【考察】早期産・極低出生体重児のnative COAに対して経皮的大動脈バルーン拡張術後に安全に外科的治療を行えた。過拡張に留意し慎重なバルーンサイズの選択が重要である。