[P29-1] 補助人工心臓装着患者のリハビリテーションの現状と課題
キーワード:リハビリテーション, 補助人工心臓, 心臓移植
【緒言】小児補助人工心臓(VAD)治療では体力向上のみならず発達促進や復学に向け、リハビリテーション(リハビリ)の位置付けは重要である。今回、当院で心臓移植を目指す重症心不全患者のリハビリの現状と課題について報告する。【リハビリの実際】2020年12月末現在、15歳以下の体外設置型VAD患者23名(平均年齢8歳(5ヶ月-15歳))にリハビリを実施した。VAD装着日数は平均405日(31-1298日)と長期に及んでいる。当院では術前の状態を把握し術後、円滑にリハビリが開始できるよう可能な限り術前からリハビリを開始している。循環を含めた全身状態に応じて可及的に離床、運動量の増加を図り、移植に向けた体力向上・発達促進に勤めている。乳幼児ではデバイスの固定やポジションを調整して安全性を確保し、運動経験を増やし自由に動ける環境を確保すること、病室外へ出ることで環境を変えて刺激を増やし発達促進に努めている。学童ではゲーム性のあるプログラムで遊びながら立位、歩行機会を増やすよう工夫している。【リハビリの課題】長期のVAD装着患者において生じうる大動脈弁閉鎖不全症、右心不全の増悪などの合併に対し、心不全増悪を招かない適切な運動負荷の設定が重要となる。移植到達を主眼に主治医と相談の上、慎重に運動量・リハビリ目標を決定している。また、1年以上の移植待機を強いられる状況は変わらず、体外設置型VAD患者・家族の長期入院に伴う精神的負担は大きく、リハビリ意欲が低下する患者も少なくない。臨床心理士や保育士など多職種によるチーム体制でのサポートが必要である。【結語】小児VAD患者のリハビリは移植到達に向けた体力向上、長期療養中の柔軟な対応が必要であり、適切な目標設定のもとリハビリを進めることが重要である。