[P29-7] 学齢期の植込型補助人工心臓装着術後の管理についての考察
キーワード:学齢期, 植込型補助人工心臓, 術後管理
【背景】2019年からHeartMate3(以下HM3)が日本でも承認されサイズの小型化により学齢期の児にも装着可能となった。今回、虚血性心筋症でHM3装着となった学齢期の児の看護を行い成人の術後看護と異なる点を感じたため、学齢期の術後管理について考察し報告する。【看護の実際】HM3装着後、循環血液量の安定、血栓塞栓症状の予防のため水分摂取の励行が必要であった。飲水の必要性は説明したが、入院前から飲水量は少なく、飲水を促されることにストレスを感じ飲水が進まなかった。そこで1日の目標量を児と決め、達成できたらカレンダーにシールを貼り褒めた。またHM3植込術後の他患児と飲水量を報告し合うことで飲水量が徐々に増加した。創部については、ドライブライン折り返しから皮下トンネル部分の治癒が遅く空洞化し浸出液が貯留していた。ゲームをする際の姿勢により折り返しの空洞部にドライブラインがあたり治癒を妨げていたため、ゲームをする際の姿勢を指導した。正しい姿勢ができているときや、創部が改善していたときは本人に伝え褒めた。また、痩せ型で腸骨での腹帯の固定が難しく、動作により腹帯がずれないように腹帯の固定方法を検討した。児が腹帯がずれたことを看護師に伝えられたときは褒めることで気を付けるようになった。【考察】飲水の必要性は理解できるが行動変容につながらなかった。児の頑張りを認める肯定的な関わりが自身のセルフケア行動を評価でき行動変容につながった。またカレンダーを用いることで達成感を得、児の飲水に対する意欲が高まったと考える。ドライブラインに負担が掛からない姿勢の保持と腹帯の固定方法を統一し、皮膚貫通部の安静を保つことで創部の改善につながった。統一事項を児と共有し、児が正しい姿勢、腹帯の固定に注意が払えていることを褒め、その行動が創部の改善につながることを本人に伝えたことで、児の自信となり意欲を高めることができた。