The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

一般心臓病学

デジタルオーラルII(P3)
一般心臓病学 3

指定討論者:廣田 篤史(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
指定討論者:本村 秀樹(国立機構長崎医療センター 小児科)

[P3-2] リピオドールリンパ管造影が有効であった乳糜心膜症の1例

太田 健1, 星野 健司1, 吉田 賢司1, 古河 賢太郎1, 西岡 真樹子1, 百木 恒太1, 河内 貞貴1, 野村 耕司2, 加藤 基3 (1.埼玉県立小児医療センター 循環器科, 2.埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科, 3.埼玉県立小児医療センター 形成外科)

Keywords:先天性乳糜, リンパ管造影, 心嚢液貯留

【症例】6歳女児
【現病歴】在胎29週より胎児エコーにて両側胸水貯留, 胎児水腫を認め,胎児胸腔羊水腔シャントを置かれていた.在胎32週4日, 1896gで帝王切開にて出生した.出生後より人工呼吸器管理、両側胸腔ドレーン留置、オクトレオチド、ステロイド投与し胸水減少したため、日齢85に退院した。以後胸水再燃なく成長発達問題なく、通院終了していた。6歳時に1ヶ月前から続く胸痛を主訴に前医受診し、胸痛精査の心エコー検査で20mmの全周性の心嚢液貯留を指摘され、当科紹介。外傷の既往はなく、画像検査・血液検査で腫瘍性、膠原病性、細菌性、結核性などの検索を行ったが、いずれも否定的であった。脂肪制限食、利尿剤にも反応が乏しく、診断治療目的に心嚢穿刺を施行した。心嚢穿刺により混濁した黄白色の心嚢液150mlを採取し、心嚢液検査でもトリグリセリド345mg/dl、コレステロール91mg/dlであったことから乳糜心膜症と診断した。培養や細胞診は陰性であった。リンパ管シンチグラフィーから胸管から心嚢腔にリンパ液が流入しており、サンドスタチンにも反応乏しかったため治療も兼ねてリピオドールによるリンパ管造影を行い、以後心嚢液は心エコー上10mm以下で推移し、脂肪制限食を中止、利尿剤減量するも増悪なく経過した。
【結語】先天性と思われる乳糜心膜症に対して、リンパ管造影を行い治療効果が得られた一例を経験した。