The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

自律神経・神経退役因子・心肺機能

デジタルオーラルII(P31)
自律神経・神経退役因子・心肺機能

指定討論者:岸 勘太(大阪医科薬科大学)
指定討論者:平田 陽一郎(北里大学医学部 小児科学)

[P31-1] ThulesiusダイアグラムとLorenzプロットを用いた体位性頻脈症候群の評価

高橋 一浩 (木沢記念病院 小児科)

Keywords:Orthostatic intolerance, Heart rate variability, Lorenz Plot

【背景】起立性調節障害(OD)は、起立不耐(OI)を認め、自律神経機能異常を伴う。【仮説】起立試験および心拍変動解析による自律神経機能評価は、グラフを用いることで、より簡便に評価できるか。【対象】当院で過去2年間にホルター心電図検査Holterを施行した小児100名(年齢、10―15歳)。OIを認め確定診断された体位性頻脈症候群患者(POTS群、N=50)、学校検診での不整脈精査患者(OIなし)をコントロール群(C群、N=50)とした。【方法】起立試験における収縮期血圧変化をX軸、脈拍変化をY軸にplotする(Thulesius Diagram)。ホルター心電図による心拍変動解析を用いて自律神経機能を評価する。周波数ドメイン解析以外に、時間ドメイン解析では、Lorenz plot(return map)を用いて視覚的に表現する(SD1、SD2)。覚醒中と睡眠中の各指標とその比率(覚醒/睡眠時比:Circadian index、CI)にも注目した。自律神経機能パラメーターは、交感神経活性指標として、Log {LH}/Log {HF}、SD2/SD1を、副交感神経活性指標としてLog {HF}、SD1を用いた。【結果】2群間で、性差、年齢、睡眠時間は差がないが、心胸郭比はPOTS群が優位に低値。周波数および時間ドメイン解析ともに、睡眠中の指標は両群で有意差がないが、POTS群では、昼間の交感神経活性指標が亢進し、副交感神経活性指標が低下していた。CIはより顕著にその違いを表現した。Lorenz Plotでは、C群では、いわゆる、comet型を示したが、POTS群では、Torpedo型を示し、交感神経活性が高いことを示した。POTS群vs C群:Log {LH}/Log {HF},1.15±0.08 vs 1.10±0.05; SD2/SD1,1.76±0.63 vs 1.39±0.43;Log {HF},-0.97±0.56 vs-046±0.42;SD1,0.97±0.24 vs 1.01±0.28 (p<0.01)【結語】本研究で、Lorenz Plotを用いることで、POTS患者の自律神経機能異常(日中の副交感神経低下、交感神経亢進)を、視覚的に判断できることが分かった。