[P32-3] 先天性心疾患児の血便に関する危険因子の検討
Keywords:先天性心疾患, 左心低形成症候群, 血便
【背景】先天性心疾患の児では、術前後に関わらず一過性に血便が見られることがある。各種検査でミルクアレルギーや壊死性腸炎の所見がない症例でも少量の血便が持続することがあり、その原因は不明である。
【目的】先天性心疾患で一過性の血便を生じた児について、疾患、血行動態、治療に関する危険因子を明らかにすること。
【対象と方法】2017年1月から2019年12月までに当院で出生した先天性心疾患の症例を対象とした。出生体重1500g未満、13トリソミー、18トリソミー、36週以下の動脈管開存症、消化管疾患、ミルクアレルギーの症例を除外し、184例を対象とした。性別、出生週数、出生体重、死亡、左心低形成症候群、内臓錯位症候群、染色体異常、プロスタグランジン製剤の使用などについて、診療録より後方視的に検討した。結果は中央値(範囲)で示した。
【結果】血便群は28例、非血便群は156例だった。血便群の血便発症日齢は23(2~587)日だった。死亡は血便群8例(29%)、非血便群16例(10%)で、血便群では死亡率が有意に高かった(p=0.02)。HLHSは血便群15/28例(54%)、非血便群22/156例(14%)で、血便群では左心低形成症候群が多かった(p<0.01)。プロスタグランジン製剤の使用率は、血便群21/28例(75%)、非血便群82/156例(53%)と血便群で多かった(p=0.04)。また左心低形成症候群36例で同様の項目について検討を行なったが、血便群、非血便群で有意差はなかった。左心低形成症候群で血便を呈した15例については、両側肺動脈絞扼術後6例、Norwood術後6例と術後症例が多かった。
【結論】血便群には左心低形成症候群が多く、死亡率、プロスタグランジン製剤の使用率が高かった。血便を呈した左心低形成症候群では術後症例が多かったが、肺血流増加や低心拍出を示唆する所見は十分でなく、その病態について検討が必要である。
【目的】先天性心疾患で一過性の血便を生じた児について、疾患、血行動態、治療に関する危険因子を明らかにすること。
【対象と方法】2017年1月から2019年12月までに当院で出生した先天性心疾患の症例を対象とした。出生体重1500g未満、13トリソミー、18トリソミー、36週以下の動脈管開存症、消化管疾患、ミルクアレルギーの症例を除外し、184例を対象とした。性別、出生週数、出生体重、死亡、左心低形成症候群、内臓錯位症候群、染色体異常、プロスタグランジン製剤の使用などについて、診療録より後方視的に検討した。結果は中央値(範囲)で示した。
【結果】血便群は28例、非血便群は156例だった。血便群の血便発症日齢は23(2~587)日だった。死亡は血便群8例(29%)、非血便群16例(10%)で、血便群では死亡率が有意に高かった(p=0.02)。HLHSは血便群15/28例(54%)、非血便群22/156例(14%)で、血便群では左心低形成症候群が多かった(p<0.01)。プロスタグランジン製剤の使用率は、血便群21/28例(75%)、非血便群82/156例(53%)と血便群で多かった(p=0.04)。また左心低形成症候群36例で同様の項目について検討を行なったが、血便群、非血便群で有意差はなかった。左心低形成症候群で血便を呈した15例については、両側肺動脈絞扼術後6例、Norwood術後6例と術後症例が多かった。
【結論】血便群には左心低形成症候群が多く、死亡率、プロスタグランジン製剤の使用率が高かった。血便を呈した左心低形成症候群では術後症例が多かったが、肺血流増加や低心拍出を示唆する所見は十分でなく、その病態について検討が必要である。