[P33-1] 単心室児の体格成長と臨床像の関連
Keywords:体格成長, Glenn手術, Fontan手術
【背景】単心室児は段階的手術により緩やかな体格成長を得ると報告されている。体格成長不良と各種合併症や周術期死亡との関連が示されており、各段階で良好な体格成長を得ることは重要である。しかし、とりわけGlenn手術(G術)前段階に体格成長を得られない症例を多く経験する。【方法、目的】2017年1月から2019年12月にFontan手術(F術)を行った109例をG術時の体重SDスコア(SDS)-2SD前後(それぞれS、L群)で比較検討し、G術前に体格成長を得られない児の臨床像を示すことを目的とした。【結果】全患児の体重SDS中央値はG術時-1.76、F術時-1.46、F術後1、2、3年でそれぞれ-1.38、-1.30、-1.03であった。S群(48%, 体重SDS -2.96)とL群(52%, 同 -0.98)の出生体重はそれぞれ2,596gと2,912gで、G術時期に差はなく(月齢8 vs. 10, p=0.09)、G術時BNP(86.0 vs. 38.1pg/ml, p<0.01)及び中等度以上の房室弁逆流の割合(25 vs. 5%, p<0.01)がS群で高値であった。G術前カテーテル検査でのSpO2に差はなかった(82 vs. 81%, p=0.49)。栄養状態指標である% weight for height(91 vs. 96%, p<0.01)、% height for age(86 vs. 96%, p<0.01)はG術時いずれもS群で低値であった。G術後ICU滞在期間(9 vs. 7日, p=0.01)及び入院期間(31 vs.23日, p<0.01)はS群で長期であった。F術時、S群のBNP中央値は14.8pg/ml、中等度以上の房室弁逆流の割合は15%でG術時から改善していたが、体重SDS(-2.25 vs. -1.00, p<0.01) は低値であった。F術後1年(-1.74 vs. -0.52, p<0.01)、2年(-1.52 vs. -0.62, p<0.01)、3年(-1.91 vs. -0.23, p<0.01)年の体重SDSは依然としてS群で低値であった。【結論】S群はL群と比較して血行動態、栄養状態の両側面から体格成長を得にくいと考えられ、F術時、及び術後3年までcatch-upが得られていなかった。G術前の血行動態への積極的介入は既に行っており、今後は栄養面への積極的介入に関して検討したい。