The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラルII(P33)
術後遠隔期・合併症・発達 2

指定討論者:金子 幸裕(国立成育医療研究センター 心臓血管外科)
指定討論者:池田 義(京都大学医学部附属病院)

[P33-2] Fontan術後遠隔期に消化管Angiectasiaによると思われる消化管出血を合併した左心低形成症候群の女児

橋田 祐一郎1, 河場 康郎1, 美野 陽一2, 近藤 麻衣子3, 馬場 健児3 (1.鳥取県立厚生病院 小児科, 2.鳥取大学 医学部 周産期小児医学分野, 3.岡山大学 大学院医歯薬総合研究科 小児循環器科)

Keywords:Fontan術後遠隔期, Angiectasia, 消化管出血

【はじめに】Angiectasiaは、局在性に拡張した静脈性の血管病変で、消化管出血の原因の一つとして挙げられ、門脈圧亢進症や心血管系病変などの基礎疾患を有することが多いとされる。今回、Fontan術後遠隔期に、消化管Angiectasiaによると思われる消化管出血を合併した左心低形成症候群(HLHS)の女児を経験したので報告する。【症例】13歳、女児。HLHSで、2歳9ヶ月時にextracardiac TCPC手術、10歳時に重度の三尖弁閉鎖不全に対して人工弁置換術が施行された。TCPC術後もチアノーゼが持続し(SpO2:85 %前後)、側副血管に対してコイル塞栓術が複数回施行された。また、12歳時に行った心臓カテーテル検査ではCVP:15 mmHgと高値で、超音波検査とMRIでは肝硬変の所見を認めていた。今回、4日前より食欲不振と嘔気を認め、経口摂取が困難となり入院となった。経過中、時折暗赤色の排便を認めていた。血液検査では、Hgb:11.5 g/dl(1か月前13.2 g/dl)と貧血の進行を認め、BUN:27.0 mg/dl(1か月前8.6 mg/dl)と高値であった。消化管出血も疑われ内視鏡検査を計画し輸液のみで経過観察としたが、入院当日の夜に下血を認め、翌朝に大量の吐血を認めたため、輸血と止血剤を投与しながら他院へ転院とした。転院先での上部消化管内視鏡では、食道静脈瘤を認めたが発赤はなく出血源としては否定的であった。一方、胃弯隆部にAngiectasiaを認め、活動性の出血はないものの少量の血液貯留を伴っており出血源の可能性が示唆された。下部消化管内視鏡でも、上行結腸とS状結腸にAngiectasiaの集簇を認め、一部微小出血を伴っておりクリップによる縫縮を施行した。その後は再出血なく、転院27日目に退院となった。【結語】Fontan術後遠隔期には、Fontan-associated liver disease(FALD)に伴う胃食道静脈瘤に加えてAngiectasiaに伴う消化管出血にも注意が必要である。