The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラルII(P35)
術後遠隔期・合併症・発達 4

指定討論者:深江 宏治(熊本市立熊本市民病院)
指定討論者:川﨑 志保理(順天堂大学心臓血管外科)

[P35-2] Fontan術後肝合併症(FALD)の評価に有効な血清学的指標の検討

三井 さやか, 福見 大地, 松本 一希, 羽田野 裕 (名古屋第一赤十字病院 小児循環器科)

Keywords:Fontan術後肝合併症(FALD), 肝線維化マーカ-, エラストグラフィ

【背景】Fontan術後肝合併症(FALD)の診断、病態評価に関して有効とされる指標はこれまで複数報告されているが、Gold Standardは肝生検とされ、非侵襲的な検査についてはまだ確立されていない。【目的】当院でフォロー中のFontan術後患者の肝機能を評価し、適切な評価方法を検討する。【対象と方法】当院通院中のFontan術後患者を対象とし肝線維化マーカー異常値あるいは腹部エコーにて肝に異常所見を認めるものをFALDと定義した。その他の肝機能に関する生化学・画像検査所見と、心機能(BNP、CVP、PAP)、Fontan術式、術後年数、内服薬との関連をPearson積率相関係数、t検定、Fisher正確検定を用いて検討した。【結果】対象は27名(男15、女12)で年齢の中央値20歳(9-46)、全員FALDの定義を満たした。γGTP・4CSが高値であったのは88%(15/17)・93%(25/27)で感度が高かった。エコー上SOLあり/なしで4CSは有意にあり群で高く(10.2/8.11,p<0.05)、エラストグラフィによる肝硬度とγGTPも正の相関を示した(相関係数=0.836,p<0.05)。BNPはFIB4(相関係数=0.406,p<0.05)、MELD-Na(相関係数=0.555,p<0.05)と正の相関を示した。またFontan術後年数とAST(相関係数=-0.449,p<0.05)、ALT(相関係数=-0.373,p=0.0556)は負の相関を示した。【考察】γGTP、4CSの感度は高く、特に4CSはSOL有無とも相関し有用と考える。AST、ALTと術後年数との負の相関は、類洞周囲の線維化に伴う肝細胞減少を示唆する可能性がある。BNPとFIB4、MELD-Naとの正の相関は、肝障害の進行と心機能の関連を裏付けるかもしれない。【結論】FALD診療においてγGTPと4CSは高感度で有用である。AST/ALT低値はむしろ要注意であり、BNP高値の症例では特に肝機能の慎重なフォローが必要である。