[P36-1] 先天性心疾患術後の血小板分布幅の推移と出血・血栓イベントの危険時期
キーワード:血小板分布幅, 血栓, フォンタン
【背景】我々はこれまで、先天性心疾患患者における、血小板の活性化による血小板分布幅(Platelet distribution width(PDW))の増加と血栓イベントの関連について報告してきた。今回は、術式毎の血小板数・PDWと出血・血栓イベントの経時的変化について検討した。【方法および結果】対象は2017年1月から2019年12月まで当科に入院した先天性心疾患患者361名。最終手術時の年齢中央値は7歳(範囲0-62)で男性が48%、単心室循環が36%あった。 出血イベントを12名(3%)、血栓形成を19名(6%)に認めた。出血群では非出血群と比較して血小板数が低値(中央値14.2 vs 21.4)であった。血栓群では非血栓群と比較し血小板数が低値(17.4 vs 21.5)でPDWが高値 (14.0 vs 12.9)であった。Small VSDなどの未手術症例をコントロールとし、APC-Fontan, TCPC、ASD/VSD closure、TOF/DORV repair、Jatene、Senning、機械弁置換との間で、手術前から20年後までの血小板数とPDW、出血および血栓イベントの頻度を比較した。術後の血小板数はAPC-Fontan(中央値17.3)とSenning(同19.0)でコントロール(同23.4)より低値で、PDWはAPC-Fontan(同14.2)、TCPC(同14.2)でコントロール(同11.1)より著明に高値であった。APC-Fontanでは経時的な血小板低下、PDW増加を認め、術後15年から出血、血栓が増加した。TCPCでは術直後にPDW低下するがその後上昇し、術後10年以降から出血、血栓を認めた。【結論】先天性心疾患術後はAPC-Fontan、TCPCで特にPDWが高値であり、出血・血栓イベントとの関連が示唆された。