[P36-2] シャント性肺動脈性高度肺高血圧を伴った成人部分肺静脈還流異常症に対してTreat and Repairを行った一例
Keywords:Treat and Repair, Pulmonary hypertension, PAPVD
【序論】
近年、成人期に診断されたシャント性肺動脈性肺高血圧を伴ったASDに対するTreat and Repairの良好な成績が報告されているが、その具体的な適応は明確に定められておらず、その予後も明らかではない。
【症例】
27歳、女性。時折労作時の息切れを自覚していたが特に通院歴はなかった。胸部圧迫感および呼吸困難感のため前医受診し、心エコー図検査にて著明な右心系の拡大を認められ当院へ紹介となった。精査にて上位静脈洞型ASDおよびPAPVD(右上中肺静脈→上大静脈)を認めた。心臓カテーテル検査にてQp/Qs=1.97、meanPAP=61mmHg、RpI=6.5WU・m2と高度肺高血圧を認めており、Treat and Repairの方針とした。まずマシテンタン、タダラフィル、セレキシパグを導入し、3ヶ月後に心臓カテーテル検査を行ったところQp/Qs=2.06、meanPAP=30mmHg、RpI=2.04WU・m2と改善が得られた。初回心臓カテーテル検査から5ヶ月後、modified double-decker methodによるPAPVD repairを施行した。術中測定したmeanPAP=19mmHgであり、術後の心エコー図検査でもTRPG=17mmHgであった。術後経過良好で、術後10日目に自宅退院となった。退院時肺血管拡張薬は3剤とも継続した。術後5ヶ月後の心臓カテーテル検査ではmeanPAP=14mmHg、RpI=0.97WU・m2と肺高血圧所見は認めず、肺血管拡張薬の漸減を行うこととした。
【結語】
今回シャント性肺動脈性高度肺高血圧を伴った部分肺静脈還流異常症に対してTreat and Repairを行い良好な経過が得られた。肺血管拡張薬を導入して肺血管抵抗が低下してからシャント修復手術を行うことで安定した術後経過が期待できると考えられた。また部分肺静脈還流異常症手術は様々な術式が報告されているが、SVC routeやPV routeの狭窄、上室性不整脈に注意が必要である。double-decker methodはこれらの合併症発症が少なく、今回のような確実なシャントrepairが必要な症例において特に有用な術式と考えられた。
近年、成人期に診断されたシャント性肺動脈性肺高血圧を伴ったASDに対するTreat and Repairの良好な成績が報告されているが、その具体的な適応は明確に定められておらず、その予後も明らかではない。
【症例】
27歳、女性。時折労作時の息切れを自覚していたが特に通院歴はなかった。胸部圧迫感および呼吸困難感のため前医受診し、心エコー図検査にて著明な右心系の拡大を認められ当院へ紹介となった。精査にて上位静脈洞型ASDおよびPAPVD(右上中肺静脈→上大静脈)を認めた。心臓カテーテル検査にてQp/Qs=1.97、meanPAP=61mmHg、RpI=6.5WU・m2と高度肺高血圧を認めており、Treat and Repairの方針とした。まずマシテンタン、タダラフィル、セレキシパグを導入し、3ヶ月後に心臓カテーテル検査を行ったところQp/Qs=2.06、meanPAP=30mmHg、RpI=2.04WU・m2と改善が得られた。初回心臓カテーテル検査から5ヶ月後、modified double-decker methodによるPAPVD repairを施行した。術中測定したmeanPAP=19mmHgであり、術後の心エコー図検査でもTRPG=17mmHgであった。術後経過良好で、術後10日目に自宅退院となった。退院時肺血管拡張薬は3剤とも継続した。術後5ヶ月後の心臓カテーテル検査ではmeanPAP=14mmHg、RpI=0.97WU・m2と肺高血圧所見は認めず、肺血管拡張薬の漸減を行うこととした。
【結語】
今回シャント性肺動脈性高度肺高血圧を伴った部分肺静脈還流異常症に対してTreat and Repairを行い良好な経過が得られた。肺血管拡張薬を導入して肺血管抵抗が低下してからシャント修復手術を行うことで安定した術後経過が期待できると考えられた。また部分肺静脈還流異常症手術は様々な術式が報告されているが、SVC routeやPV routeの狭窄、上室性不整脈に注意が必要である。double-decker methodはこれらの合併症発症が少なく、今回のような確実なシャントrepairが必要な症例において特に有用な術式と考えられた。