[P36-3] 当院における近年の植込み型ループレコーダー症例9例の検討
キーワード:失神, ループレコーダー, 不整脈
【背景】植込み型ループレコーダー (ILR) は原因不明の失神および動悸の診断に有用とされ、ILRの診断に基づいた失神に対する治療も有効であるとされている。成人領域ではその有用性が示されてきているが小児領域での検証は少ない。【目的】当院小児科患者で近年ILR植込みとなった症例について臨床像とILR植込後の経過について検討すること。【方法】2012年4月から2020年11月までに当院小児科患者(成人例含む)でILR植込みとなった9例について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】ILR植込みを行った際の年齢は11~48歳(中央値18歳)。基礎疾患は先天性心疾患が7例、肥大型心筋症が2例だった。ILRのきっかけは失神8例、めまい1例だった。ILRにより心室性不整脈の診断に至りICD植込みとなった症例が1例、心房性不整脈の診断に至りアブレーションとなった症例が2例、心原性疾患が否定され神経疾患や精神疾患の診断となった症例が2例だった。それぞれILRの観察期間に違いはあるものの、5例は失神の原因診断に至った。心原性失神の診断に至った3例は失神の再発を認めていない。【結論】小児科領域においてもILRは失神の診断および治療に有効だった。不整脈症状だけでなく小児科領域に多いてんかんや先天性QT延長症候群の診療、また昨今増加している成人先天性心疾患の不整脈の診断にもILRは今後重要な役割を果たしていくと思われた。