[P36-4] ファロー四徴症修復術後に対する肺動脈弁置換術後の遠隔成績と心機能の推移
Keywords:ファロー四徴症, 肺動脈弁置換術, 遠隔期心機能
【背景】ファロー四徴症(TOF)修復術(ICR)後の肺動脈弁閉鎖不全(PR)は遠隔期の心筋障害の原因となり予後を左右するとされている. 当院では基準を超えた症例には比較的積極的に肺動脈弁置換術(PVR)を行う方針としている.【目的】当院におけるTOF ICR後PRに対するPVRの遠隔成績と心機能の推移について検討した.【対象と方法】2009年~2020年の間にPVRを行った19例のうち,術後1年以上経過した18例を対象とした.PVR時年齢は33±12歳でICRからは27.9±8.6年経過していた.平均観察期間は74±37ヶ月(19~141ヶ月).術前,術後1年,3年,5年の時点でCMRIによる心機能評価を行った.その他データは後方視的に抽出した.【結果】生体弁(CEPあるいはCEP Magna)を使用したもの12例,ePTFE3弁付きグラフトを使用したもの7例であった.不整脈手術はメイズ手術を3例,肺静脈隔離術を1例,右室流出路アブレーションを6例に行った. 手術死亡なし,遠隔死亡なし. 再手術は術後2年でPVEに対してrePVRを行った1例のみで再手術回避率は5年で94%. 心電図のQRSは術前/1年/3年/5年で162±11/151±16/148±15/149±14msと1,3,5年とも術前と比較して有意に短縮していた(p<0.05). CMRIによるRVEDVIは195±48/111±22/123±34/113±26 ml/m2と1,3,5年とも術前と比較して有意に縮小していた(p<0.05). RVEFは43±4/44±4/44±10/46±7 %と術前,1,3,5年と有意な変化はなく改善傾向はみられなかった.LVEDVIおよびLVEFは術前,1,3,5年と有意な変化はなかった. 術後に人工弁尖の劣化所見は見られず肺動脈弁逆流率の有意な悪化もみられなかった.【考察】術後1年の時点で心電図上QRSの縮小,RVEDVIの縮小が得られ,5年まで維持されていることがわかった.RVEFは遠隔期にも改善はみられなかった.これらの結果を踏まえてPVRの手術時期を検討する必要がある.