[P36-6] additional shuntを必要とした成人先天性心疾患の2症例
Keywords:シャント, 姑息術, 成人先天性心疾患
【背景】近年はstaged repair strategyの進歩によって、Fontan circulationまで到達する機能的単心室症例が多くなっている。しかし、何らかの理由により姑息術止まりで成人期をむかえ、GlennやFontan circulationに進むことができず、チアノーゼや付随症状に悩む症例も存在する。【目的】Glenn手術の適応がないと判断された、体肺動脈短絡術後の成人先天性心疾患の2症例の臨床経過を検討した。【症例と結果】症例1は20歳女性で、診断はTGA、左側房室弁閉鎖。他院にて3か月時に肺動脈絞扼術、2歳時にASD creation、11歳時にmodified BT shuntとVSD拡大術を施行され、その後当院外来でフォローアップとなった。肺血管抵抗高値、左PVOを認め、BDGの適応なしと判断。Shunt狭窄部へのPTAや側副血行路へのコイル塞栓術でも改善しない高度のチアノーゼと喀血を認め、肺血流増加目的にCentral shuntの追加を行った。症例2は28歳女性で、診断は右室型単心室、肺動脈狭窄、左末梢性肺動脈狭窄。他院にて6ヵ月時にmodified BT shuntを施行。その後BDGの適応と判断されたが、家族が希望されなかった。その後shunt狭窄に対してPTAを2回施行するもシャント閉塞が確認された。今回は低酸素血症が原因と考えられる意識消失発作を認めた為、当院に紹介。肺血流増加のためmodified BT shuntの追加手術を行った。2症例とも明らかなSpO2の改善が認められ、NYHA分類でも4から3へと症状の改善が認められた。また症例1では喀血頻度の改善を認め、症例2では意識消失発作の再発は認めていない。しかし、術前と比較して利尿剤の増量、降圧薬の増量が必要となった。【考察】心肺同時移植が困難である日本において、姑息術止まりでチアノーゼやその付随症状に困っている成人先天性心疾患症例に対してadditional shuntは症状の改善に有効である。しかし抗心不全療法の強化が必要となり、今後の慎重な経過観察を必要とする。