[P37-2] 重症ACHD例の診療は多職種による包括的な対応が必要である-1症例の経験から-
Keywords:ACHD, 診療体制, terminal
【背景】小児期のCHD治療成績は向上し, 成人に到達する重症例は必然的に増加している. 小児科の範疇を越えた特有の合併症を伴うため, 同分野に精通したスタッフを含むACHD診療体制の普及が望まれる. しかしそれは十分整っておらず, 複雑・重症心疾患であるほど小児(循環器)科での継続的な診療を続けざるをえないのが現状である.【目的】当施設で経験したACHD 1症例の急性~終末期医療を振り返り, 小児(循環器)科としての関わりを考察する. 【症例】33歳女性. {S, L, L} DORV, PA. Conventional Rastelli, Av replacement, Tv replacement, CRT implantation. CRTによる心機能改善は得られず慢性的な心不全であった(NYHA3). 数日持続する倦怠感と動悸を主訴に当院を受診され, Af及び心機能低下が確認された. DCでsinusに回復したが間もなくshock状態となり, 蘇生処置の後ICU管理となった. 無尿状態が持続しICU day 2にCHDFが導入された. day 8に呼びかけに応答しday10には抜管に至ったが無尿状態は持続した. day 14 炎症反応の上昇と共に呼吸循環が不安定化した. 緩和的鎮静・鎮痛以外の積極的な治療追加は行わない方針とした. day 16に血圧が急激に低下し同日看取りとなった. 【考察】問題点はそれぞれ分野別の内科に診療を依頼した. 特にCHDFに関しては腎臓内科の管理とした. 不穏・せん妄対策や終末期緩和的な鎮静投与については精神科・緩和科に協力を依頼した. 小児循環器科,心臓血管外科以外に内科6分野を含む様々な科が診療に携わった. 小児循環器医は治療の方向性を示し, まとめる「舵取り」であり患者家族への「窓口」の役割を担った.【結論】特に重症ACHDの診療においては必要に応じて小児(循環器)科の範疇を越え, 多職種により包括的に対応をしていく必要がある.