[P38-1] 2010-2020年の当院の双胎例における先天性心疾患と予後の検討
Keywords:双胎, 双胎間輸血症候群, 流出路狭窄
【背景】先天性心疾患(CHD)の成因に関しては遺伝的要因と環境要因(epigenetic factors)による多因子遺伝と考えられている。一卵性双胎は同一の遺伝子を持つことが多いが、双胎がともにCHDを有する確率はわずか25%で二卵性双胎では6%である。我々は当院における双胎例のCHD症例と発生要因を報告してきたが更に症例を蓄積して検討した。【方法】当院における2010年1月~2020年12月までの11年間の双胎妊娠を後方視的に全例調査し、双胎のCHD症例とCHDのない症例に対して、多変量解析を用いて、CHD発症に関連する因子の同定を試みた。【結果】上記11年間で合計6048例の分娩があり、双胎270例(135組)、品胎15例(5組)を認めた。双胎例のうち、一絨毛一羊膜双胎(MM twin)1組、一絨毛二羊膜双胎(MD twin)53組、二絨毛二羊膜双胎(DD twin)72組、不明9組であった。全双胎例のうち12組17例(7.0%)にCHDを認め、CHD合併率は高かった。MM twin 1組、MD twin 5組、DD twin 6組だった。全双胎の1組を除く11組が早産、全例が低出生体重児であった。13例がPDAであり、これは早産、低出生体重の影響と思われたが、うち5例は他方の双胎児にPDAを認めなかった(より低体重の児が4例)。他の4例は他方にCHDを認めず、以下の診断であった。1)MD twin、TTTS (donor)、PA/VSD、RAA + LtPDA (染色体正常)。2) MD twin (より高体重)、VSD、AS。3) DD twin (より低体重)、21 trisomy、cAVSD、(他方も21 trisomy、CHDなし)。4) MD twin(TTTS donor)、 Rt.isomerism、SLX、MA、PA、PDA、RAA、PLSVC(他方は正常、CHDなし)。多変量ロジスティック解析では体重が小さいことのみがCHDと関連していた(P<0.007)。【考察】 これまでの報告同様、双胎ではCHDの合併率が高く、TTTSで低体重(供血児)の場合にCHDを4例中4例(100%)に合併していた。【結語】双胎妊娠、TTTS、低体重の胎内血行動態(環境因子)はCHDとの関連が示唆された。