[P39-2] 新生児慢性肺疾患を伴う超/極低出生体重児3例の心房中隔欠損症の管理
Keywords:心房中隔欠損症, 慢性肺疾患, 肺高血圧
【背景】通常, 小児の心房中隔欠損(ASD)は無症状で, 小児期閉鎖術の予後は良好である一方, 新生児慢性肺疾患(CLD)など肺成長発達障害を伴う場合, 成長障害や肺高血圧を認め, 乳児期早期の閉鎖術が検討される.【症例1】在胎28週2日, 出生体重1048g, 21trisomyの男児, CLDに対し在宅酸素療法(HOT)を導入した. 3か月時, ASD, 肺高血圧を認め紹介となった. 9か月時, 心臓カテーテル検査は, mPAP 51mmHg, Rp 4.13wu/m2, Qp/Qs 2.47, NO負荷でmPAP 44, Rp 1.9だった. tadalafil導入後, ASD閉鎖の予定だったが, 白血病を発症し, 閉鎖術は延期された. その後ASDは自然閉鎖した. 5歳1か月, mPAP20, Rp 2.77であり, tadalafilは継続している.【症例2】在胎29週6日, 出生体重790g, プラダーウィリー症候群の女児, 子宮内発育不全で母体がtadalafilを内服していた. 新生児期にASDを指摘され, CLDに対しHOTで経過観察された. 1歳時, 肺高血圧を指摘された. 1歳5か月の心臓カテーテル検査は, mPAP 42, Rp 5.73, Qp/Qs 1.53, NO負荷でmPAP 37, Rp 1.17であり, tadalafil, macitentanが開始された. 2歳4か月に閉鎖術施行した.【症例3】在胎27週5日, 出生体重783g, 女児, NICU入院中にASDを認め, 退院後CLDに対しHOTで経過観察された. 3か月時に紹介となり肺高血圧を認めた. 5か月時の心臓カテーテル検査はmPAP 21, Rp 1.21, Qp/Qs 2.89で, 生後10か月に閉鎖術施行した.【考察】CLDや染色体異常など肺成長障害を有する児は, 遠隔期の肺血管床発育不全, 右室機能不全が示され, 心房間左右短絡は肺高血圧のリスクとなると報告される. 同患者群のASDの臨床経過は様々であるが, 早期閉鎖により, CLD進行の抑制, 遠隔期の呼吸機能および発達予後の改善が示唆されている.【結語】CLDを伴う超/極低出生体重児のASDでは, 乳児期早期から肺高血圧治療や閉鎖術適応を念頭に注意深い観察が必要であり, 新生児科と循環器科の連携が重要である.