[P40-3] セレキシパグが奏効し、次の手術ステージへ進むことができた単心室修復の3例
Keywords:セレキシパグ, 肺血管拡張薬, 肺高血圧
【はじめに】セレキシパグは半減期の比較的長い経口のプロスタサイクリン受容体選択的作動薬であるが、小児における使用経験は乏しく、有効性や安全性については確立していない。今回、セレキシパグ導入により、次の手術ステージへ進むことができた単心室の3小児例を報告する。【症例】症例1はHLHS亜型に対してNorwood手術 (RV-PA Conduit)後の女児。術後からPDE5阻害薬(PDE5i)とエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)が導入されていたが、生後6か月時には、平均肺動脈圧 25mmHg、PVR 5.5単位・m2と肺高血圧(PH)の進行が見られた。PDE5iとERAの増量では改善不十分でありセレキシパグを導入、0.022mg/kg/dayまで増量し、生後11か月時には、平均肺動脈圧19mmHg、PVR 2.1単位・m2と改善が得られ、Glenn手術へ進むことができた。症例2は生後11か月で初めて診断されたLarge VSD, straddling TVの女児で、1歳0か月で肺動脈絞扼術、2歳2か月時にGlenn手術が施行され、術後にPDE5iとERAが開始された。2歳4ヶ月時、PVR 3.9単位・m2と高値があり、セレキシパグを導入、0.011mg/kg/dayまで増量し、PVR 1.7単位・m2にまで低下し、3歳時にFontan手術を終えている。症例3はHLHS亜型の女児で、生後2か月時にNorwood手術 (BTS)が施行されたが、その後PHが進行し、Glenn手術に進めない状態であった。PDE5i、ERAを導入するも肺高血圧が残存したため、3歳3ヶ月よりセレキシパグを導入、0.032mg/kg/dayまで増量し、PVR は3.7から1.9単位・m2にまで低下、3歳7か月時現在Glenn手術待機中である。副作用に関しては、症例2と3で顔面紅潮、症例3で軽度の消化器症状の出現があったが、一旦減量後に再度ゆっくり漸増していくことで継続することができた。【まとめ】小児例に対してもセレキシパグが安全に使用でき、かつ臨床的に有効であった。セレキシパグは、PHがあるために次のステージへ進むことができない単心室症例に対する治療選択肢となり得る。