第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

デジタルオーラルII(P40)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

指定討論者:土井 拓(天理よろづ相談所病院)
指定討論者:中山 智孝(高知赤十字病院)

[P40-5] 先天性心疾患に伴う肺高血圧に対する最近の薬物療法

大槻 祥一郎, 三谷 義英, 澤田 博文, 大橋 啓之, 淀谷 典子, 平山 雅浩 (三重大学 小児科)

キーワード:先天性心疾患, 肺血管拡張剤, セレキシパグ

【背景】近年、3系統の肺動脈性肺高血圧(PAH)治療薬の多剤併用療法により、PAH 患者のQOL および予後は著明に改善している。しかし、先天性心疾患(CHD)患者の術前後のPAH治療薬の多剤併用療法の効果は不明である。【目的】当院におけるCHD患者に対する肺血管拡張薬の使用状況・効果について検討する。【方法】2020年に当院外来を受診したCHD患者で、肺血管拡張薬のホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル)、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)(ボセンタン、アンブリセンタン、マシセンタン)、プロスタサイクリン系薬剤(エポプロステノール、セレキシパグ)投与中の症例を、診療録より後方視的に検討した。【結果】CHD患者38例(小児例24例、成人例14例、年齢1歳から76歳、中央値14歳)に対して肺血管拡張薬が投与されていた。32例にPDE5阻害薬が、23例にERAが使用されていた。主な疾患は、Fontan術後の患者で、2例でPDE5阻害薬とERAに加えて新薬セレキシパグが追加投与された。1例は追加投与1年後のカテーテル検査で平均肺動脈圧が12mmHgから9mmHgへ低下した。また、全患者中7例は未修復シャントCHD患者(ASD4例、AVSD2例、PDA1例)に対する投薬で、そのうち5例は成人例であった。2例はEisenmenger化しており、セレキシパグの追加投与を開始されていた。またPDA/PH とASD/PHの2症例に対して、2剤または3剤併用療法によるTreat and Repair (and Treat)が行われ、良好な治療効果が得られた。【結語】従来のPDE5阻害薬、ERAの有効性と共に、新規プロスタサイクリン系薬剤の併用療法の有効性が示唆された。