[P40-8] 遺伝子検査でOsler病と確定診断できた肺動静脈瘻の1例
Keywords:肺動静脈瘻, オスラー病, 遺伝子検査
【はじめに】肺動静脈瘻(PAVF)は比較的稀な疾患で小児期には無症状のことも多く、年長になるにつれて労作時の息切れ、頭痛などの症状を認めるようになる。約30%がOsler病に合併するといわれている。今回、症状・家族歴からOsler病を疑い、遺伝子検査で確定診断することができた症例を経験したので報告する。【症例】12歳、男児【経過】気管支喘息の診断で1歳時から当院小児アレルギー外来を定期受診。LTRA内服、ICSで喘息のコントロールは良好であった。2017年2月からwheezeを伴わない呼吸困難を主訴に度々救急外来受診。β2刺激薬の吸入で症状は改善するため経過観察となっていた。吸入前/後のSpO2は93-94/95-96%であった。2018年から受診頻度増加。SpO2は90-92%と低下傾向であったがこれまでと同様にβ2刺激薬の吸入で症状改善するため経過観察となっていた。2019年12月に運動後のSpO2 89%とSpO2の更なる低下を認めたため当院小児循環器外来受診。胸部単純写真で右下肺野のPAVFが疑われた。contrast echoでは右心系にmicro bubbleが見えた3心拍後に左房にmicro bubbleを認め、造影CTで左右下肺野のPAVFを認めた。反復する鼻出血のエピソードはなかったが口腔粘膜の毛細血管拡張を認めた。母親もPAVFの治療歴があったためOsler病が強く疑われた。しかし母はOsler病と診断はされておらず、診断基準を満たさなかった。遺伝子検査は保険収載前であったため希望されなかった。PAVFは治療適応と考え専門病院へ紹介しコイル塞栓施行。SpO2は92.6%(塞栓前)→96.4%(塞栓後)と上昇し呼吸困難も改善した。また2020年4月からOsler病の遺伝子検査が保険収載されたため遺伝子検査施行したところ母子ともに変異を認め、Oslerと確定診断することができた。【まとめ】症状、病歴では診断しきれなかったが遺伝子検査の結果、Osler病と診断できた。Osler病は継時的に動静脈奇形が進行することもあるため慎重な管理が必要である。