The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルII(P44)
川崎病・冠動脈・血管 2

指定討論者:安田 謙二(島根大学医学部)
指定討論者:野村 裕一(鹿児島市立病院)

[P44-1] 経過中にけいれんを認め可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症 (MERS)を合併した川崎病の1例

竹田 義克, 佐藤 啓, 八木 英哉, 河畑 孝佳, 荒木 来太 (石川県立中央病院 小児内科)

Keywords:川崎病, MERS, けいれん

【はじめに】川崎病に稀ではあるがけいれんや意識障害などの中枢神経症状を合併することがあり, 冠動脈病変の合併率が高いとの報告が散見され注意を要する.今回,経過中にけいれんを認めMERS(clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion)を合併した川崎病と診断した症例を経験した.当院での急性期にけいれんを合併した川崎病の検討もあわせて報告する.【症例】1歳男児.第2病日に2分間の強直間代性けいれんを認め単純型熱性痙攣と診断した.第5病日に川崎病(主要症状5/6,群馬スコア4点)と診断し, IVIG2g/kgの投与を開始した.第6病日に解熱したが, 不機嫌が続き起立困難で発語を認めないことから脳症を疑い頭部MRIを施行したところ,DWIで両側白質に散在する信号変化と軽度の脳萎縮を認めMERS type2と診断した.経過で冠動脈病変は認めず,神経症状は徐々に改善した.一過性の退行を認めたものの現在は神経学的後遺症なく経過している.【考察】当院で川崎病急性期にけいれんを合併した症例について診療録を後方視的に検討したところ2005-2018年に5症例認めた.1例に一過性の冠動脈拡張を認めたが,遠隔期の冠動脈病変,神経学的後遺症をいずれも認めなかった.川崎病の好発年齢である1歳前後では,神経症状の判断が難しく,しゃべれない,起立できないことが不機嫌のためだと判断し,軽症脳症が見逃されているかもしれない.けいれん,発達の退行など神経症状を認める場合は冠動脈病変のハイリスクであることを認識し,遅滞なく炎症を抑えることが重要である.