The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルII(P44)
川崎病・冠動脈・血管 2

指定討論者:安田 謙二(島根大学医学部)
指定討論者:野村 裕一(鹿児島市立病院)

[P44-2] 生後3か月で発症した無熱性冠動脈瘤合併高安動脈炎の1例

辻井 信之, 豊川 富子, 吉澤 弘行 (奈良県立医科大学 小児科)

Keywords:高安病, 冠動脈瘤, 動脈炎

【背景】乳児期早期の高安動脈炎は珍しく、その中でも冠動脈病変を合併し、経過を追えたものの報告はない。【症例】3か月女児。鼻汁・軽度咳嗽を認めていたが、1週間ほどして哺乳不良が出現したため、近医受診。発熱は認めなかったが、WBC 29800/μl、CRP 23.01mg/dl、胸部レントゲンで両側斑状影と第2弓拡張あり。細菌性肺炎として加療されたが、心エコーで冠動脈拡張指摘され、当科紹介された。造影CTで冠動脈・腕頭動脈・肺動脈・腹部大動脈(腸骨動脈分岐部直下)・両側腎動脈起始部・腹腔動脈・上腸間膜動脈起始部に拡張あり、高安病と診断。PSL 2mg/kg/dayとAZA (アザチオプリン) 1mg/kg/dayで治療開始し、mPSLパルス2クール施行するも炎症反応鎮静化せず。TCZ (IL-6阻害薬; トシリズマブ) 8mg/kg/2w投与し、炎症反応は一旦陰性化したが、2週毎でのTCZ投与で炎症反応再上昇を認めたため、シクロスポリン 4mg/kg/day内服追加でようやくコントロール良好となった。発症76日目に心臓カテーテル検査施行し、segment1 5.4mm、segment5 4.3mm、segment6 2.4mmと起始部に限局的な中等瘤形成を認めた。発症後1年が経過したが、AZAと2週毎のTCZ投与で良好にコントロールされている。【考察】本例は無熱性であり、診断に至るまでに時間を要した。4か月児の突然死の原因が高安動脈炎であった報告もあり、乳児期早期には発熱などの症状が目立たない症例が存在する可能性がある。幸い冠動脈病変によるイベントは起こっていないが、注意深い経過観察が必要である。