[P44-4] 遠隔期に光干渉断層法を行った川崎病性冠動脈瘤の一例
Keywords:川崎病, 冠動脈瘤, 光干渉断層撮影法
【背景】光干渉断層法(Optical Coherence Tomography;OCT)は約1300nmの波長の近赤外線を用いて生体組織の後方散乱反射を画像化する診断装置であり血管内超音波検査と比較し10倍の解像度を持ち、冠動脈病変のより詳細な結果を得ることが出来る。我々は冠動脈瘤内に血栓を疑った5歳男児にOCTを施行したため報告する。【目的】巨大冠動脈瘤形成後の冠動脈についてOCTを用いて瘤内血栓の有無、血管壁の性状を評価検討すること。【症例】生後6ヶ月に不全型川崎病(症状3/6 群馬スコア2点)、巨大冠動脈瘤と診断した。発症より1ヶ月後に施行した冠動脈造影では#1に4.5mmの冠動脈瘤を、#6に9.8mmの巨大冠動脈瘤を認めた。発症4ヶ月後に川崎病 (症状6/6 群馬スコア3点) の再燃あり、以後アスピリン、ワーファリン治療を継続していた。5歳時に心臓超音波検査で#6の瘤内に径2.2mmの高輝度所見あり血栓を疑い冠動脈造影、OCTを施行した。患児の体格は身長107cm、体重19kg、体表面積0.77m2であった。冠動脈造影で#6に3.5mmの冠動脈瘤を確認し瘤前後に狭窄を認めた。OCTでは瘤内に内膜増生を認めたが新鮮血栓、器質化血栓は無く、瘤前後は輝度の高い脂質に富む内膜増生による狭窄を認めた。外膜までは画像深度が深く石灰化の有無は評価出来なかった。【考察】川崎病発症から約5年後に瘤内血栓を疑い冠動脈造影とOCTを施行した。結果として血栓は無く、退縮した巨大冠動脈瘤は内膜肥厚を認めた。【結論】川崎病性冠動脈瘤へのOCTは巨大冠動脈瘤では外膜までは届かず全体像の評価は困難であったが、血栓の有無や血管壁構造についての詳細な結果を得ることができた。OCTは冠動脈病変の血栓や脂肪組織の性状評価、組織診断に有用である。