[P44-7] 頸部回旋障害を伴う成人発症川崎病の1例
キーワード:川崎病, 成人, 環軸関節回旋位固定
【症例】24 歳,男性【既往歴】なし【家族歴】特記事項なし【現病歴】 2020/9/15より発熱と左頸部痛をみとめ、近医にて抗生剤内服とされていた2019/9/19発熱遷延し、頸部の発赤腫脹が拡大、全身状態も悪化を認めたため当院皮膚科紹介入院となった。【入院時検査所見】WBC19060(Neu93.2%) Hb15.6 Ht42.5 Plt24.4 Alb3.9 T-Bil1.6 AST36 ALT41 γGTP73 LDH146 Na132 CRP19.51溶連菌(-)アデノウイルス(-) CoVID19 PCR(-)血液含む各種培養陰性、各種自己抗体・腫瘍マーカー陰性心エコー:心嚢水少量、腹部エコー:腹水少量【入院後経過】抗生剤の変更を繰り返したが解熱認めず。発疹・眼充血。手掌紅斑が出現していた。自己免疫疾患疑われ、2020/9/25よりPSL30mg /dayを開始。2020/10/3(第18病日)に解熱を得た。その後PSL漸減していたが、2020/10/7に両手に膜様落屑認めたため、この時点で川崎病と診断され、2020/10/14(第29病日)よりIVIG400mg/kg/day*5日間の投与が行われた。IVIG投与前に頸部の回旋異常の遷延を認めていたが、投与開始後に速やかに軽快を得た。入院中の心臓超音波検査で冠動脈に異常を認めず、2020/10/23退院となった。なお、発症後3か月で行った冠動脈造影CTにおいても異常を認めていない。【川崎病関連症状の出現時期まとめ】#発熱(2020/9/15)#頸部リンパ節腫脹(2020/9/18)#発疹(2020/9/18)#眼充血(2020/9/20)#手掌紅斑(2020/9/21)#膜様落屑(2020/10/17)【考察】口唇発赤以外の川崎病症状を満たしていること、解熱後に膜様落屑を認めたこと、遷延する頸部の回旋障害がIVIG投与で改善したことから、稀ではあるが成人発症川崎病と診断した。【結語】文献的には30歳までの成人発症川崎病の報告が多くあり、小児に比べて頻度は少ないとされているが、冠動脈瘤の報告もある。内科領域においても特に若年層の発熱には川崎病を鑑別に挙げる必要がある。