[P44-9] 罹患後2ヶ月で心筋梗塞を発症した川崎病巨大冠動脈瘤の1幼児例
Keywords:川崎病, 心筋梗塞, 巨大冠動脈瘤
【背景】川崎病(KD)後遺症としての巨大冠動脈瘤(GA)を有する症例では、その後の急性心筋梗塞(AMI)発症の可能性があるが、抗凝固療法によってその頻度は0.02%といわれている。今回、我々は、罹患後2ヶ月でAMIを発症したKD-GAの1幼児例を経験したので報告する。【症例】4歳、男児。KD急性期はガンマグロブリン、プレドニゾロン、アスピリン、シクロスポリン、インフリキシマブ、血漿交換による加療を受け、最終的にsegment 1、2、3、7、8、12に径4.0~12.9mmの冠動脈瘤を認め、アスピリン、ジピリダモール、ワルファリンで管理中であった。KD発症2ヶ月後に嘔吐、腹痛、活気不良を認めたが、胸痛は認めなかった。ECGで下壁誘導、V2、V3でST上昇を認め、血液検査ではAST/ALT 48/12IU、CK 437IU/L、CK-MB 42.9IU/L、トロポニンI 1958pg/mLであった。心エコーで心室中隔に収縮不良域を認め、AMIと診断し、当院へ転院となった。入院後、発症より12時間以上経過していること、抗凝固療法を受けていることより、血栓溶解療法は施行せず、ICU入室の上、ワルファリンを中止し、ヘパリンの持続投与を行った。翌日には症状は改善し、その後、新たなAMIの発症は認めなかった。第5病日に造影CTにて、segment 7の血栓性閉塞と診断した。第12病日に血管造影を施行し、segment 7の閉塞と左室前壁から中隔領域の収縮低下を認めた。【考察】最近の全国調査によると、GA発生頻度は0.11%と、減少傾向であるものの、今なお存在する。加えて、乳幼児のAMIは、本症例のように非特異的症状で発症することも多く、頻度は低いものの、KD既往のある児では、注意が必要と考えられる。