The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルII(P46)
川崎病・冠動脈・血管 4

指定討論者:鈴木 啓之(和歌山つくし・医療福祉センター)
指定討論者:長井 典子(岡崎市民病院)

[P46-1] 筋性部心室中隔欠損症とされていた冠動脈肺動脈起始症の2例

松本 一希, 羽田野 裕, 三井 さやか, 福見 大地 (名古屋第一赤十字病院 小児科)

Keywords:VSD, ARCAPA, ALCAPA

【背景】先天性冠動脈異常の頻度は0.4-1.3%と稀であるが突然死の原因となり、特に冠動脈肺動脈起始症は早期診断・治療が望まれる。一方、筋性部心室中隔欠損症(mVSD)は先天性心疾患では比較的よく経験し、自然閉鎖も期待ができ、突然死となることは稀な疾患である。他院にてmVSDと診断されていたが冠動脈肺動脈起始と判明した2例について報告する。【症例】(1)6歳男児。就学時検診にて心雑音を指摘され、エコーでmVSDと診断され当院紹介受診となった。当院でのエコーで心室中隔の壁内に血流を認めたが、右冠動脈(RCA)の拡大と肺動脈内への血流の流入を認め、冠動脈肺動脈瘻を疑い心臓カテーテル検査を施行した。左室造影 (LVG)ではmVSDは認めず、冠動脈造影(CAG)で左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)と診断し、手術となった。(2) 2歳女児。3ヶ月時に乳児血管腫の治療前のスクリーニング検査で多孔性mVSDを指摘された。1歳時に転居に伴い当院紹介となった。初診時のエコーで心尖部に小短絡と思われる血流を複数箇所に認めたが、左冠動脈(LCA)の拡大とRCAが肺動脈から起始しているように見えたため、心臓カテーテル検査を施行した。LVGでmVSDは認めず、CAGで右冠動脈肺動脈起始症(ARCAPA)と診断し、手術となった。【考察】mVSDは収縮期に短絡血流を認めるが側副血行路は拡張期にも血流を認めることが鑑別の上で重要である。また、側副血行路を認める場合や片側の冠動脈の拡大を認める場合は、冠動脈起始異常の可能性があるため正確な評価が必要となる。mVSDを年長児で初めて指摘された場合は、特に注意深く冠動脈を確認していく必要がある。【結語】RCAやLCAからの側副血行路をmVSDと診断されていた冠動脈肺動脈起始症の2例を経験した。mVSDを認めた場合は、冠動脈起始異常を念頭におく必要がある。