[P46-4] 肺動脈絞扼術後に感染性心内膜炎および肺動脈瘤を合併した21トリソミーの一例
キーワード:感染性心内膜炎, 動脈瘤, 肺動脈絞扼術
【背景】肺動脈絞扼術は先天性心疾患の代表的な姑息術であるが、その術後に感染性心内膜炎を合併することが稀にある。今回、肺動脈絞扼術後に感染性心内膜炎を発症し、その後動脈瘤を形成して切除術を施行した21トリソミーの一例を経験した。【症例】日齢0,女児。在胎35週0日、2596gで出生した。染色体検査の結果から、21トリソミーと診断した。出生時の心エコーにて、両大血管右室起始症、動脈管開存と診断した。日齢12に肺動脈絞扼術および動脈管結紮術を施行した。日齢27から発熱および炎症反応の上昇を認め、血液培養でCorynebacterium speciesが検出された。心エコーにて肺動脈主幹部の動脈管が瘤状に遺残した部位の拡大と疣腫を認め、感染性心内膜炎と診断した。感染性心内膜炎に対してバンコマイシンとリファンピシンを8週間投与し、疣腫は縮小した。しかし肺動脈瘤はCT上拡大傾向を認め、肺動脈の破裂と周囲の臓器への圧迫のリスクを鑑み、日齢95に外科的切除+心内修復術を行った。切除した肺動脈瘤の病理は内膜損傷がなく、層構造は保たれた真性動脈瘤であった。【考察】動脈管が瘤状に遺残することはしばしばあるが、肺動脈絞扼術後に増大傾向となった症例の報告は稀である。本症例は肺動脈絞扼術でジェット流が生じ、動脈管遺残部位に疣腫を形成した。さらに同部位が狭窄後拡張の影響を受け、外科的切除を必要とする動脈瘤の形成に至ったと考えられた。【結語】肺動脈絞扼術後に感染性心内膜炎を疑う時は、絞扼部より遠位部も丹念に検索するのが望ましい。また、感染部位が血流による持続する負荷をうける瘤形態の場合にはその増大にも注意が必要である。