The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルII(P46)
川崎病・冠動脈・血管 4

指定討論者:鈴木 啓之(和歌山つくし・医療福祉センター)
指定討論者:長井 典子(岡崎市民病院)

[P46-5] 線維筋異形成症(FMD: fibromuscular dysplasia)による重症腎血管性高血圧を呈した兄妹例

石踊 巧1, 村上 卓2, 嶋 侑里子1, 野崎 良寛2, 今川 和夫2, 堀米 仁志2, 高田 英俊2 (1.筑波大学附属病院 小児科, 2.筑波大学医学医療系 小児科)

Keywords:線維筋異形成症(FMD), 腎血管性高血圧, 血管内エコー(IVUS)

【背景】FMDは小児腎血管性高血圧の原因として10%程度を占める。無症状の例も多いが、小児期に腎不全や冠動脈乖離といった致死的な経過をたどった報告もある。【症例1】女児、在胎40週0日3125gで出生、日齢18に回腸穿孔で入院した際、高血圧、心筋肥厚を指摘された。両側腎動脈狭窄を認め、腎血管性高血圧と診断とした。Ca遮断薬、β遮断薬に反応不良でStageII以上の高血圧が持続した。1歳8ヶ月時に気道感染症を契機とした急性腎不全を呈し、無尿・透析依存となり、1歳10ヶ月で永眠した。病理解剖で両側腎動脈は高度に狭窄しており、右腎動脈は血栓性に閉塞していた。内膜中膜外膜いずれの層にも膠原線維の増生があり、特に外膜の所見が顕著であった。上腸間膜動脈末梢や冠動脈にも外膜優位の線維化があった。日齢18の腸穿孔時の検体でも漿膜下層の動脈に外膜の線維性肥厚があった。炎症性細胞浸潤や動脈硬化性病変はなく、FMDと診断した。【症例2】男児、症例1の兄。元来健康で成長発達正常。3歳8ヶ月時、StageIIの高血圧を指摘された。エコーで左腎動脈の狭窄を認め、左腎動脈狭窄による腎血管性高血圧と診断した。また上腸間膜動脈起始部にも狭窄を認めた。4歳時に経皮的左腎動脈形成術を実施した。左腎動脈は起始4.3mm, 狭窄部 1.4mm, 末梢 3.1mmで31mmHgの圧較差があった。IVUSで外弾性板以遠に高エコー領域の異常増生を指摘され、外膜領域の線維性増殖が疑われた。血管形成は無効だった。ACE阻害薬内服で血圧は正常化した。父にStageIIの若年性高血圧が認められたが、造影CTで血管病変の合併は否定された。Alagille症候群など血管奇形を伴う疾患のターゲットシーケンスでは異常所見なく、Whole Exome解析を実施しているが、変異の報告はまだない。【考察】FMDにおける外膜病変は稀で重症例の報告が多い。IVUSで外膜領域の異常肥厚を同定できた。血管性高血圧の病態評価にIVUSが有用な可能性がある。