[P5-3] 18トリソミーにおける周術期不整脈の検討
Keywords:18トリソミー, 周術期, 不整脈
【背景】18トリソミーの先天性心疾患に対する外科治療が近年増加傾向にあるが、周術期に発生する不整脈に関しては全く不明である。【目的】18トリソミーにおける周術期不整脈を明らかにする。【方法】本院で2008年4月から2021年1月までに行われた18トリソミー30例の姑息術あるいは最終修復術後の周術期で認められた10例の周術期不整脈について後方視的に検討した。【結果】姑息術後1例、最終修復術後9例に不整脈を合併した。5例で2種類以上の不整脈を認めた。不整脈診断は完全房室ブロック5例、洞性徐脈+接合部補充収縮3例、接合部頻拍2例、心室頻拍2例、心房頻拍1例、心房粗動1例、Mobitz II型房室ブロック1例であった。完全房室ブロックはVSD閉鎖術を行った26例中5例で発生(19%)し、術直後からが4例、24時間後からが1例であった。イソプロテレノール(ISP)投与とペーシング治療で全例改善した。接合部頻拍2例はランジオロール投与で消失した。心室頻拍2例のうち1例は電気的除頻拍で停止し、もう1例はアミオダロン投与で停止した。心房粗動1例は術後160時間経過して出現し電気的除頻拍を要した。心房頻拍1例はβ遮断薬内服で停止し、再発は認めなかった。全ての不整脈は治療可能であった。【考察】18トリソミー症例は、21トリソミー症例や染色体異常のない症例に比べて、明らかに周術期不整脈の発生頻度が高いと考えられた。完全房室ブロックは発生頻度が高いものの、術後1週間までに改善を認めた。18トリソミー症例では手術侵襲に対し刺激伝導系が脆弱である可能性が示唆された。全ての不整脈は治療可能なものであり、経過は良好であると考えられた。【結論】18トリソミー症例の周術期には種々の不整脈が合併する可能性が高く、周術期のみならず心電図モニタリングの継続と正確な診断、的確な治療が必要である。