[P5-6] 1歳で大動脈基部置換術を施行したLoeys-Dietz症候群の男児例
Keywords:Loeys-Dietz症候群, Marfan症候群類縁疾患, 大動脈基部置換術
【はじめに】Loeys-Dietz症候群(LDS)はTGFBR遺伝子変異による遺伝性結合織疾患でありMarfan症候群よりも若年で大動脈拡大、大動脈解離を発症する傾向が高い。成人では大動脈Valsalva径に応じて手術基準があるが、小児では手術基準が定まっていない。【症例】本児が8か月時に兄が胸部レントゲンで大動脈陰影異常を指摘されMarfan症候群類縁疾患が疑われ、家族スクリーニングのため9か月時に当院受診。心エコーにてAR軽度、LVEF64% A弁15.0mm Valsalva25.4mm STジャンクション19.7mm aAo16.0mmと大動脈拡大著明であり、兄同様Marfan症候群類縁疾患が疑われた。1歳2か月時の心エコーにてAR中等度へ悪化、LVEF60%、Halifaxの基準でA弁16.4mm(正常比149% Zスコア3.8) Valsalva32.0mm (正常比220% Zスコア7.7)STジャンクション21.1mm(正常比202% Zスコア5.0) aAo20.0mm (正常比153% Zスコア4.6)と大動脈拡大が進行。遺伝子検査にて本児、兄、母にTGFBR1変異をみとめLDSと最終診断。大動脈径拡大の著明な進行があるため1歳5か月時(身長77cm体重10kg)に大動脈基部置換術、弁形成術を施行。術後4年経過しているが、AR軽度、大動脈解離等は認めず外来で経過観察中である。【考察】LDSの大動脈拡大に対しての手術基準は成人と異なり、小児では定まっていない。特に本症例のように乳幼児期に大動脈基部拡大の進行、大動脈弁逆流の進行がある場合の手術適応、時期についての判断は悩ましい。本症例はValsalva径が正常比200%を超えておりZスコアも7以上であり、経過により大動脈拡大、大動脈弁逆流の進行を明らかに認め、1歳ではあったが手術適応と判断した。術後4年たったが、再手術等の介入なく経過フォローしているが、幼小期の手術でもあり今後も成長に伴う変化や再悪化に留意しながら密な経過フォローが必要と考えている。