第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラルII(P50)
外科治療 3

指定討論者:小泉 淳一(岩手医科大学 心臓血管外科)
指定討論者:上松 耕太(和歌山県立医科大学)

[P50-3] BT shuntをRV-PA conduitへ変更したファロー四徴症5例

中井 亮佑, 前田 佳真, 小林 匠, 齋藤 美香, 吉敷 香菜子, 上田 知実, 浜道 裕二, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:ファロー四徴症, シャント閉塞, RV-PA conduit

【背景】ファロー四徴症(TOF)に対するBlalock-Taussig shunt(BTS)術後に,shunt閉塞や吻合部狭窄による低酸素血症や,高肺血流による心不全をときに経験する.術直後の血栓閉塞や狭窄に対するカテーテル治療は吻合部の脆弱性から困難で,shuntを付け直しても再閉塞などで状態の改善が得られないことがある.BTS術後にRV-PA conduitへ変更したTOFの5例を経験したので報告する.【症例1】TOF,PA,低出生体重児.日齢13にBTS(3.5mm)を施行したが術中に血栓閉塞した.Central shunt(3.5mm)へ変更したが,再度血栓閉塞を認めRV-PA conduit(5mm)へ変更した.月齢4にBTSを追加し,月齢10にICRを施行した.【症例2】TOF,PA,MAPCA.月齢5に右UF+BTS(3.5mm)を施行したが,shunt吻合部のねじれ狭窄のため酸素化低下が進行した.POD18にRV-PA conduit(8mm)へ変更した. 1歳9ヶ月でICRを施行した.【症例3】TOF,PA,低出生体重児.日齢22にBTS(3.5mm)を施行したが,high flowによる心不全のためECMO管理となった.POD13にRV-PA conduit(5mm)に変更した.1歳5ヶ月にICRを施行した.【症例4】TOF,PA.日齢18にBTS(3.5mm)を施行したがshunt閉塞のためECMO管理となった.POD8にre BTS(3.5mm)施行も再度閉塞しRV-PA conduit(6mm)へ変更した.月齢10にde-clipを施行,1歳時にconduit内に壁在血栓を認めconduit交換を行い,経過観察中である.【症例5】21トリソミー,TOF,severe PS,早産・低出生体重児.月齢1にBTS(3mm)を施行したが,shunt吻合部の狭窄,LPA狭窄による酸素化低下を認めPOD18にRV-PA conduit(5mm)に変更した.月齢10にde-clipを施行し,経過観察中である. 【考察と結語】TOFの初回palliationはBTSが標準的な治療戦略である.ただしRV-PAは人工心肺や心侵襲のデメリットがあるものの,BTS術後のコントロールに難渋する症例では有効な治療法となりうる.