[P50-4] Unroofed coronary sinus, 単心房, 重複左室房室弁口を伴う不完全型房室中隔欠損症根治術の1治験例
キーワード：不完全型房室中隔欠損症, Unroofed coronary sinus, Common atrium
【背景】
Unroofed coronary sinus(URCS)を伴う不完全型房室中隔欠損(iAVSD)は稀であるが, 左上大静脈遺残(PLSVC)を伴う報告が散見される. 当院においてiAVSD症例で, PLSVCを伴わないURCSを合併し, かつ単心房, 重複左側房室弁口(DOLAVV)合併例を経験した. これらの組み合わせは検索した範囲で報告例を認めず, 術式を含め報告する.
【対象患者と術式】
症例は1歳11ヶ月男児. iAVSD根治術目的で当科紹介. 術前心臓カテーテル検査にてQp/Qs 2.1, Pp/Ps 0.3, PLSVCは認めなかった. 心エコーにて軽度左側房室弁逆流(mild LAVVR), 軽度右側房室弁逆流(mild RAVVR)を認め, 心房中隔が大きく開存した単心房形態であった.
LAVVは約8mm大の副弁口を伴うDOLAVVであった. 水テストで逆流は主弁口Cleft部位からのみで, 副弁口からは認めず, LAVV repairはCleft閉鎖のみ施行. CS開口部を通常の部位に認めず, 順行性心筋保護液注入をすると, LAVVのさらに背側の開口部より流出を認めた. 心房中隔作成の際, この開口部を右房側に還流させるsuture lineではLAVV流入部狭窄が懸念されたため, CS開口部は左房側に還流させることとし, 想定される房室結節部位の前方を回るように新鮮自己心膜で心房中隔作成を行った. RAVVは中隔側に弁尖を持たない二尖形態. 逆流テストでは中隔の弁尖欠損部からの軽度逆流のみであり, 形成手技は行わなかった.
【結果】
術後洞調律を維持. 心エコーにて房室弁逆流はtrivial LAVVR, trivial RAVVRに制御され, 左右心房の大きさのバランスは良好であった. またASD leakは認めなかった.
【結語】
PLSVCを伴わないURCS, iAVSD, 単心房, DOLAVV合併症例に対し合併症なく根治術を施行できた. PLSVCのないURCS症例で, CSをLA側に還流させても右左短絡量は少な炒め, 心房中隔によりsupra LAVVの狭窄が懸念される症例では有用な選択肢である.
Unroofed coronary sinus(URCS)を伴う不完全型房室中隔欠損(iAVSD)は稀であるが, 左上大静脈遺残(PLSVC)を伴う報告が散見される. 当院においてiAVSD症例で, PLSVCを伴わないURCSを合併し, かつ単心房, 重複左側房室弁口(DOLAVV)合併例を経験した. これらの組み合わせは検索した範囲で報告例を認めず, 術式を含め報告する.
【対象患者と術式】
症例は1歳11ヶ月男児. iAVSD根治術目的で当科紹介. 術前心臓カテーテル検査にてQp/Qs 2.1, Pp/Ps 0.3, PLSVCは認めなかった. 心エコーにて軽度左側房室弁逆流(mild LAVVR), 軽度右側房室弁逆流(mild RAVVR)を認め, 心房中隔が大きく開存した単心房形態であった.
LAVVは約8mm大の副弁口を伴うDOLAVVであった. 水テストで逆流は主弁口Cleft部位からのみで, 副弁口からは認めず, LAVV repairはCleft閉鎖のみ施行. CS開口部を通常の部位に認めず, 順行性心筋保護液注入をすると, LAVVのさらに背側の開口部より流出を認めた. 心房中隔作成の際, この開口部を右房側に還流させるsuture lineではLAVV流入部狭窄が懸念されたため, CS開口部は左房側に還流させることとし, 想定される房室結節部位の前方を回るように新鮮自己心膜で心房中隔作成を行った. RAVVは中隔側に弁尖を持たない二尖形態. 逆流テストでは中隔の弁尖欠損部からの軽度逆流のみであり, 形成手技は行わなかった.
【結果】
術後洞調律を維持. 心エコーにて房室弁逆流はtrivial LAVVR, trivial RAVVRに制御され, 左右心房の大きさのバランスは良好であった. またASD leakは認めなかった.
【結語】
PLSVCを伴わないURCS, iAVSD, 単心房, DOLAVV合併症例に対し合併症なく根治術を施行できた. PLSVCのないURCS症例で, CSをLA側に還流させても右左短絡量は少な炒め, 心房中隔によりsupra LAVVの狭窄が懸念される症例では有用な選択肢である.