[P50-5] RV overhaulを行った7例の経過の検討
Keywords:右室低形成, overhaul, 肺動脈閉鎖
【目的】RV overhaul (RVOH)は,肺動脈閉鎖症 (PAIVS)などの低形成右室の容量を増加させ,2心室修復の可能性を拡大しうる効果が示されている.当院ではこれまでに右室低形成を伴う7例に対しRVOHを施行し,その効果と経過について検討した.【方法】対象は2014年以降の7例で,診断はいずれも右室低形成を伴うPAIVS 5例,PS 1例,VSD-PS 1例で,RVOH時年齢は15日-6(平均1.6)歳,体重は2.4-20.5 (9.6) kgだった.術前治療介入は肺動脈弁カテーテル治療を0-4(2.0回),BT shuntを0-2(0.7)回,TAPVC修復を1回行い,同時施行術式は,VSD閉鎖を1例,全例に右室流出路パッチ拡大,肺動脈弁,三尖弁に各5,4例に形成術を施行し,心房間交通は1例で完全閉鎖,他の6例は部分閉鎖した.RVOH術式は,心筋を削って容量を稼ぐより伸展性の悪い肥厚心内膜を細断し収縮能を保持しつつ拡張性を改善することを主眼とし,流出路は積極的に心筋も切除しパッチ拡大するが,肉柱部は乳頭筋の支持が保たれるよう経三尖弁的に心尖部に向かい放射状に割を入れるのみとした.【結果】術直前,後のカテーテル検査で,RVEDVは89から102%Nへ,SaO2は83から87%へ有意ではないが増加傾向を認め,CVPは6.6から7.0 mmHg,LAPは6.2から5.8 mmHg,RVEDPは9.0から9.2 mmHgと変化は認めなかった.右室造影では術前に比べ肉柱部を主体に拡張していた.心房間交通はカテーテル検査による閉鎖試験で確認後に閉じることとし,RVOHと同時に閉じた1例以外では,2例は術後検査待ち,1例は検査後ASOで閉鎖,2例はASOのための成長待ち,1例は閉鎖も可能だがさらなる右室の成長を期待し待機中だった.【考察と結語】RVOHは単独で行うことはほとんどなく,他の術式の影響もありそれだけによる効果の判定は困難だが,全例で右左シャントを減量し右室容量負荷が増えたにもかかわらずCVPやRVEDPが上昇しなかったのはRVOHの効果と推測され有効な術式と思われた.