[P51-1] 心室中隔欠損症(VSD)閉鎖術において大動脈遮断解除後に僧帽弁閉鎖不全(MR)が顕在化した2例 -介入すべきか否か-
キーワード:VSD, MR, 手術適応
【緒言】心室中隔欠損症(VSD)閉鎖術において,大動脈遮断解除後に僧帽弁閉鎖不全(MR)が顕在化することはまれである。【症例1】5歳男児。出生後の心雑音を契機にVSDの診断に至り外来フォローされていた。一時的に内服による心不全治療を必要としたが,2歳時にはシャント量が減少し内服も中止できていた。4歳時に大動脈弁右冠尖逸脱(RCCP)が出現し,VSD閉鎖術を施行した。VSDはmuscular-outlet typeで,人工心肺・心停止下に経右房的にpatch閉鎖したが,大動脈遮断解除後の経食道心臓超音波(TEE)で,術前trivialだったMRがII度に増悪していた。torn chordaeやperforationの所見もなく,LV vent挿入時も抵抗など認めなかったが,損傷の可能性も否定しきれず,再度大動脈遮断し右側左房切開で僧帽弁にapproachした。構造的異常は認めず,両交連を縫縮するMVPのみを施行し大動脈遮断解除したところ,MRはI度に改善,さらに2ヶ月後の外来受診時にはtrivialに改善していた。【症例2】4歳女児。出生後の心雑音を契機にVSDの診断に至り外来フォローされていた。3歳時にRCCPが出現し,VSD閉鎖術を施行した。VSDはsubarterial typeで,人工心肺・心停止下に経肺動脈的にpatch閉鎖したが,大動脈遮断解除後のTEEで術前全く認めていないMRが出現,II度であった。LV ventは非使用で損傷の可能性もなく,MRは介入せず経過観察としたところ,術翌日にはI度に改善し,10日後には消失した。【結語】VSD閉鎖術において大動脈遮断解除後に顕在化したMRは,人工心肺・心停止に伴う心機能低下に関連するfunctionalの可能性が高いため,心臓超音波で構造的異常が明らかでなければ,介入せずとも経時的な改善が期待できる。