[P51-4] c-AVSDに対するハート型パッチの効果とその応用
Keywords:AVSD, operation, repair
【背景】術前に房室弁逆流が少ないc-AVSDの心内修復術は,その弁形態をそのまま維持してパッチを入れれば理論的には新たな逆流は生じない.【方法】2-patch法で行い,心室パッチはPTFE 0.4mmを心房パッチは新鮮自己心膜を用いる.弁下のVSD形態に合わせて心室パッチjust sizeでtrimmingする.弁尖側は左側前尖と左側後尖が接合する部分に切れ込みを入れて両者のcoaptation zoneをその切れ込みにhorizontalに固定する.心室パッチはハート型に近い形態となる.この方法をPalliative ASD閉鎖にも応用した.この方法を供覧し結果を報告する.【結果】ハート型パッチを8例に使用.同一術者が施行した直近連続5例(パッチの切れ込み以外は同一形態パッチ)と比較した.術前因子として月齢平均11±2対10±3ヶ月,体重平均6.6±0.6対6.1±0.6kg,TOF形態のc-AVSD3例対1例, Rastelli typeはA2例,C3例対A3例,C2例でいずれも有意差はなかった.術前房室弁逆流は全てmild以下で,術中因子としてはパッチの深さ(=crestの深さ)8.2±2.6対8.6±1.9mm,幅(弁輪間距離)13.0±1.5対14.8±1.0mm,cleft完全閉鎖5例対4例,右側房室弁形成stich数0.8±0.7対1.4±1.5針でいずれも有意差はなかった.形成後の右側弁口が96±10対80±5%Normal(P=0.016)と唯一有意差を認めた.術後最長8ヶ月の経過観察で,最終外来受診時のMR,TRは両群とも全例mild以下(両群ともmild MR1例,mild TR1例)で逆流に関して差を認めなかった.Palliative ASD閉鎖の1例では左側の弁口の確保が困難でseptation lineに右側弁尖を用いたが,接合面をハート型と逆の形状とすることで弁尖縫合の追加なく逆流の発生を抑制でき最大開口を確保できた.【結語】ハート型パッチは右側房室弁の弁尖形態を改善する可能性がある.palliative ASD閉鎖時に弁尖形態を維持することができ,弁尖縫合を最小限にし左側弁口の確保に寄与する可能性がある.