The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

外科治療

デジタルオーラルII(P51)
外科治療 4

指定討論者:村山 弘臣(あいち小児保健医療総合センター 小児心臓病センター)
指定討論者:梅津 健太郎(三重大学)

[P51-5] 僧帽弁閉鎖不全を合併した心室中隔欠損閉鎖術後の僧帽弁逆流の推移

奥木 聡志1, 小出 昌秋1, 國井 佳文1, 立石 実1, 新堀 莉沙1, 守内 大樹1, 井上 奈緒2, 金子 幸栄2, 杉山 央2, 中嶌 八隅2 (1.聖隷浜松病院 心臓血管外科, 2.聖隷浜松病院 小児循環器科)

Keywords:心室中隔欠損症, 僧帽弁, 外科治療

【背景】Large VSDにMRを合併することは少なくないが小児期の弁形成術は成長の観点からも適応は議論が分かれる.弁輪拡大のみで弁形態が正常であれば僧帽弁形成術を併施する必要はないという報告もある.当院では形態的異常がなければ中等度までのMRは放置する方針としている.
【目的】VSD閉鎖術後のMRの推移について解析し当院の治療方針の妥当性を検討する.【対象と方法】2006年から2020年に当院で小児期にVSD閉鎖術を施行した232例を対象とした. 診療録から後方視的に検討した.
【結果】平均年齢は16.3±25.8ヶ月,平均体重は8.9±6.7kg.男児は125例(53.2%).VSD type(東京女子医大分類)はI型34例,II型7例,III型183例,IV型4例,V型2例,I+II型5例,II+III型1例,I+II+III型1例.21trisomy 31例,22q11.2欠失症候群2例.合併心奇形はCoA 18例,IAA 7例,DCRV 4例.術後平均観察期間は5.0±4.4年であった.術前のMR gradeはtrivial 以下194例,mild 33例,moderate4例.VSD閉鎖術時に僧帽弁形成術を3例(1.3%)に併施した.いずれも僧帽弁逸脱,弁輪拡大を認めた. 弁形成術式はそれぞれEdge to edge repair,弁輪縫縮,Edge to edge repair+弁輪縫縮であった.最新のMR gradeはtrivial以下 205例, mild 24例, moderate2例. moderateの2例は術前MR mildで1例は術前より僧帽弁逸脱を認めたが,もう1例は逸脱を認めなかった.VSD閉鎖術時に僧帽弁形成術を併施した3例はMR mildで経過している. VSD閉鎖術後遠隔期の1例にCleftからのMR severeが出現し僧帽弁形成術を施行した.術後MR mildで経過している. MRによる再手術回避率は5年99.2%であった.
【考察】VSDに合併した形態的異常のない中等度までのMRは基本的に放置するという当院の治療方針は妥当であると考えられた.どのような症例で僧帽弁形成術を積極的に行うべきなのか,今後もさらなる症例の蓄積とフォローアップが必要と思われる.